知ること
揺れる焚き火の炎が、幻想的な自然の空間をつくっている。
「さて、なにから話そうか…そうだな、強くなるには、いろんな事をまず知ることだ」
僕は、横になりながら話を聞く。
「例えば、世界の事、自分の事、魔物の事、たくさん有りすぎるけどね、起きれるか?傷口は痛くないか?」
シアはメモ見ながら調合した薬草を僕に器ごと渡す。
ウルマに手伝ってもらい、体を起こす。
「痛っ」
流石に傷が痛む、魔法のお陰で出血はないが、傷口は開いたままなのだ…
「オニキス、はい、あーん」
ウルマが大量の砕かれた薬草を、スプーンに乗せて待機している、見るからに苦そうな草の塊に、僕は観念した…
「あーん」
なぜか、ウルマはニコニコしながら薬草を僕の口に放り込む。
「ブホォッ…!痛っ…!」
薬草の苦さに、思わず吹き出し、傷が痛む…
僕は涙目で、ウルマとシアさんを見る…
「まあ、はじめて、その薬草を口にするとみんなそうなるな」
シアさんは笑っていた、僕は我慢し、鼻腔に苦味が回らないよう注意しながら一気に薬草を飲み干しウルマに水を貰う。
「次はこれだ、小さい果実の乾物を渡してくる、時間をかけていいから食べてくれ」
僕は渡された、果実の乾物を口に入れた、苦味の後の甘味にすごく驚いた…!
「まあ、みんなそんな反応だよ」
シアさん曰く、この果実は栄養価が優れているらしく、傷や体力の回復に使うらしい。
「これも、知ることの1つだな、医術のひとつさ、【奇跡の行使が】使えれば、早く治るんだが、そんな便利なスキルは、普通使えないからな」
「奇跡の行使?」
僕は言葉を呟く…
「奇跡の行使は魔法によって怪我や病気を治すスキルだよ。
使える者もごく僅かさ、使えても、その個人の力で効果が全然違うけどな。
まぁ、使えるに越したことはないがな」
焚き火の炎の温かさが眠気を誘う、温かさのせいなのか…薬草の効果なのか…
「もう少し寝てた方がいい」
その言葉を聞くと同時に意識が遠退いていった…