黒瑪瑙2
水平線から昇る太陽が生命活動の伊吹を感じさせる…
漁師達だろうか?深夜漁に行った者達が大漁旗を掲げ港に帰ってくる…
もう、日課になってしまったな…
早起きしての朝稽古、この街に来て3度目の朝だ…
今日の午前中に魔剣の手直しと鞘を渡せると二代目ガイナスさんが言っていた…
性格変更剣…善人は悪人に悪人は善人に…温厚な人間は凶暴に…使えば使うほど…性格が反転していくらしい…呪いの剣のようであってそうでないのは、悪人を善人に変えれるからだ…
制御石さえ付けてしまえば、そこそこ強い魔剣なのだ…
更に鞘には制御石を強化させる魔方陣が刻印されており…
性格変更の特殊効果を大幅抑え込むことが可能となった。
この、2日で治療院にも訪れ、小鬼将から、うけた肩の傷もだいぶ良くなってきた、激しく動かすと傷が開くので無理はしないように医者に言われている、シアさんはプラムに付き添っている…
プラムは普通を装ってるが時おりふらつくのだ…この街ですら完全な治療が行えない…
ただ、救いがあるとすればプラムの神槍自体に回復効果があり、ゆっくりであるが良い方向に向かっているみたいだ…
少し気になることがある…
この街に来てから、ウルマの気配を感じるのだ…
…
今頃は学校支度を終えて、ハルさんと早めの朝食を食べてるところだろうか…
「そんなわけないよな………」
そんなこと考えながら稽古に励むとあっという間に約束の時間になる…
足早にガイナス工房に訪れると、先代が店先を掃除していた。
「オニキス君おはよう、例のもの出来上がってるよ…」
「おはようございます!ほんとですか?見せてもらって良いですか?」
「息子が用意していたから、すぐに渡せると思うよ、みておいで」
勢い良く扉を開けると二代目さんが剣を手入れしてくれていた。
「おっ!早いねぇ出来ているよ」
黒塗りに金の装飾の鞘の収まった魔剣を二代目さんが渡してくれると早速、剣帯に装備してみた。
「おっ、いいね説明はこの前した通りだ制御石の装着にその力を増幅させる鞘だ!聞くことはあるかい?」
「いや、大丈夫です」
「そうか、気を付けてな!手入れ忘れるなよ!」
「ありがとうござきます!」
二代目さんに挨拶し店を出ると、先代さんが話し掛けてきた。
「どうだった?魔剣や聖剣・神剣は人を選ぶし相性もある、その魔剣が良く成るも悪く成るもオニキスくん、君しだいさ…
命を預ける相棒だ、気難しい相棒だがよろしく頼むよ」
「わかりました胆に命じときます」
僕も少しは剣士に見えるだろうか…
少し誇らしげに歩きシアさんとプラムのいる治療院にむかう…
足音がうさ耳に反応する…
つけられてる…
路地の行き止まりにすすむと…
そいつが、姿を表した…
「ひさしぶりだね…オニキス」