賢者の苦悩
暖炉の炎が弱くなってきている…この暖炉はそろそろ面倒な煙突掃除しなくてはならないですね…
薪をくべると、弱くなった炎が強さを取り戻す…
星の命ですか…
考えもしないわけではなかった、古い文献諸説に、あったガイア理論…
星そのものが1つの生命として、生物と環境が相互に干渉しあい影響を及ぼしている…
窓から降る雪を見ながら考えると、続きを思い出していく…
確か気候の変化についても、説明されていたな…
人間が汗をかいて体温を調節するのと同じように、この蒼い星も気候変動で自己調節している…でしたか…
確か最後に…
人類が自らの行いを正すのは不可能だ、人間とは知恵をもった狼だ…
と締め括っていた…
1ヶ月でやらなければならないこと…
○国家間の意志の統一
○門の再調査
○星の心臓の修復方法の調査
○迎撃部隊の編成
人を集めないといけませんね…
魔道具を取り出すと助手に連絡を入れる…
「状況が、一変しました!急ぎの仕事です!ネムさん、パールさん…」
おや、魔道具の調子が悪いのか!?
「ネムさん、パールさん…」
「………………………………」
「あっ、はいパールです!ネムもいます!」
「今どこですか?事務所に行って、急ぎの書類を作って下さい!」
「………………………………」
「無理です…」
「えっ…!?なんで!?」
「ネムです、今休暇中で南浮島です…魔王国の騒動からようやく、落ち着いたんですよ?まとまった休暇が取れたばっかじゃないですか!」
「言ってることは重々承知です……今から話す事は真実です…」
「なに、重い空気だしてるんですか!いつも通りでいいですよ!ちょっとネム、シーサンが大事な話してるんだよ!」
「世界が滅ぶかも知れません…およそ10年後の事です、もしくは近い未来に門が開き、魔物に滅ぼされるか知れません…」
うーん、賢者が間違ったことは一度も無い…給金が遅れたことはあるが…恐らく賢者は本当の事を言っている…
目茶苦茶緊急事態じゃん…
はぁ…仕方ないか…
「わかりました!直ぐに戻ります!転移スクロール使いますよ高い方のやつです!パール戻ろう!」
「いやいや、ほんと助かります、フフッ頼りにしていますよ、内容は送っておきます…」
いやー焦りましたよ…まさかバカンスとは…まあ、ああ言って二人は必ず仕事してくれんですよね…
竜人が最後に言った…
プログラムは動きはじめている…?
人類の間引きのことか?幾度かの大規模戦闘…王都と魔王国での戦闘には、敵との会話によるコンタクトは記録されていない…女王陛下も問い掛けたが人形のようだと言っていた…
いや違う…
竜人は何故、ファビウスさんに話をしたのか?人類に失望しているので無いのか…
「考え過ぎか…」
暖炉の炎で暖をとると疲れがどっと押し寄せてくる、少しだけ眠るとしよう…