表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い兎の冒険譚 勇者の存在しない…この世界で…  作者: 黒うさモフル
第三章 冒険の旅に
63/117

白瑪瑙3

静寂が支配する中、部屋の窓が風で音を立てている…


眠ろうと思うがなかなか眠れないのだ…明日朝出発しないといけないのに、明日は雨かもしれない…


水でも飲めば気持ちも落ち着くだろう…


貸し与えられている部屋から一階の食堂に行こうとすると、リビングに薄暗い明かりが灯っている…


そっと覗いてみると…


背中越しに話し掛けられる…


「なかなか、私も今日は眠れないんだ…

少し話でもするか?」


ソファに腰かけると、ハルさんが果実水を

渡してくれる…


「お前も酒が飲めたらいいんだがな…ははっ」


しっかりしている印象が強いだけに、少し酔っているのは意外だった…


「珍しいですね…お酒飲んでるんとこなんて初めて観ましたよ…」


葡萄酒をグラスに注ぎながら話はじめる。


「そういえば幼馴染みの二人…いい子達だな…ユアンナは筋が良いぞ…オニキスとは大違いだな、オニキス自体は努力家なんだがな…もう少し時間を掛ければ良くなると思うぞ…はぁ、みんな旅に出てしまうな…」



確かにオニキスは、不器用なところがあるし、子供だ、真面目といえば良いが、融通が聞かないとこもある…

そんなオニキスに危険に迫っていると言っていた…モルちゃんの未来視をわたしも重ね見た…わたしが何とかしないといけない…

モルちゃんには見えない未来の結末がわたしには見えたんだ…


「学園どうだった?結局少ししか行けなかったな…」


少しうとうとしてそうだ…


「充分ですよ、少しだけど得るものがたくさんありました…」


「そうか…」


お互いに思っていることは同じだと思う…

もっと通わしてやりたい…もっと通いたい…



「準備は大丈夫か?忘れ物はないか?」


酔いも回ってるのかだいぶ眠たそうだ…


「大丈夫ですよ、子供ですけど…そこまで幼子じゃないですよ、お母さんみたいですよ…」


ここに世話になって、ずっと気にかけてくれていた…



「私は…みんな…の、お姉…さんだ…ぞ………」




優しそうで寂しそうで…




毛布を掛けて…




ほっぺたをつついてから、手を握り握手する…



手の甲に小さな水溜まりができた…









「ありがとうございました…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ