白瑪瑙3
静寂が支配する中、部屋の窓が風で音を立てている…
眠ろうと思うがなかなか眠れないのだ…明日朝出発しないといけないのに、明日は雨かもしれない…
水でも飲めば気持ちも落ち着くだろう…
貸し与えられている部屋から一階の食堂に行こうとすると、リビングに薄暗い明かりが灯っている…
そっと覗いてみると…
背中越しに話し掛けられる…
「なかなか、私も今日は眠れないんだ…
少し話でもするか?」
ソファに腰かけると、ハルさんが果実水を
渡してくれる…
「お前も酒が飲めたらいいんだがな…ははっ」
しっかりしている印象が強いだけに、少し酔っているのは意外だった…
「珍しいですね…お酒飲んでるんとこなんて初めて観ましたよ…」
葡萄酒をグラスに注ぎながら話はじめる。
「そういえば幼馴染みの二人…いい子達だな…ユアンナは筋が良いぞ…オニキスとは大違いだな、オニキス自体は努力家なんだがな…もう少し時間を掛ければ良くなると思うぞ…はぁ、みんな旅に出てしまうな…」
確かにオニキスは、不器用なところがあるし、子供だ、真面目といえば良いが、融通が聞かないとこもある…
そんなオニキスに危険に迫っていると言っていた…モルちゃんの未来視をわたしも重ね見た…わたしが何とかしないといけない…
モルちゃんには見えない未来の結末がわたしには見えたんだ…
「学園どうだった?結局少ししか行けなかったな…」
少しうとうとしてそうだ…
「充分ですよ、少しだけど得るものがたくさんありました…」
「そうか…」
お互いに思っていることは同じだと思う…
もっと通わしてやりたい…もっと通いたい…
「準備は大丈夫か?忘れ物はないか?」
酔いも回ってるのかだいぶ眠たそうだ…
「大丈夫ですよ、子供ですけど…そこまで幼子じゃないですよ、お母さんみたいですよ…」
ここに世話になって、ずっと気にかけてくれていた…
「私は…みんな…の、お姉…さんだ…ぞ………」
優しそうで寂しそうで…
毛布を掛けて…
ほっぺたをつついてから、手を握り握手する…
手の甲に小さな水溜まりができた…
「ありがとうございました…」