紅水晶と水宝玉7
ようやく日が昇ってきた…朝日の光に照らされて草木の朝露が眩しいくらいに、日光を反射さしている…
手入れの行き届いた庭に、同じような格好をした二人…間隔にして5メートルの距離をとり対峙するのではなく、横並びに並んでいる…
二人が持つ得物は槍である…
軽く息を吸い込んで、右側の人間が正面に一歩、突きを出し前に進むと、左側の人間も一歩突きを出し前に進む。
似ている二人のの違いは頭半個分の身長差、凛とした大人の顔立ちに対して愛くるしい幼さが少し残る少女の顔。
片方は青紫の髪色、幼さが残る少女は白に近い桃色の髪色だ…
繰り出した突きの後、すぐさまに引き抜き、即座に右に凪払う、凪払って突き、回転指しては突き、一連の流れる動作を青紫の髪色の女性が見せると、幼さが残る少女はその動きをトレースしていく…
そんな二人を眺めるように二階の窓から、眠い目をこすり見守る…
「アンナちゃん、張り切ってるな…もう少し寝るかな…」
学園でウルマちゃんを見つけた後、ウルマちゃんのお世話になっているお宅に泊めてもらったのだ、この家の主は特務隊のハルさんといっていた、ギルガメス隊長さんが言っていた人だろう…まだまだ眠れる。
ウルマちゃんに紹介してもらうと夕食までご馳走になった…
夕食の時話の話題は、兎人種の集落の末路や宝石色についての事であった、ハルさん曰く。
「宝石色、金属色は意外に多いのだ、ただ能力を開花出来ずその力の10%も発揮できずに、埋もれ老いと共に、能力が減少し消滅していく」
といっていた、ボクの力はどうなんだろ…
【紫水晶】【紅水晶】2人の能力は同系統…純粋に身体能力の大幅向上だ…
王都のエリートから教えを受けれるチャンスなんて滅多にない…
「ユアンナの話は衛兵長から聞いているぞ、悪漢相手に活躍だったらしいな…」
この言葉に目を輝せたアンナちゃんが少ない時間で稽古を申しでたのだ、アンナちゃんも集落の事で悔やむことが有るのは、前から感じていた。
ボクたちのなかで、唯一戦いに参加出来る力を有していたのだから。
ぼんやりと昨日の出来事を思い出しながら、温かいベッドのなかでモルスは再び眠りについた上質のベッドなんて、この後の旅で味わえないかも知れないのだ…