謎の女性2
目の前の存在が人なのだろうか?
人ならざる者なのだろうか?
見た目は人種だ、ただ珍しく髪色が薄い緑色だけだ、獣人なら珍しくない…獣耳や尾は見当たらない…
ここで眠っていたのと、さっきの話で普通じゃないのは解った…
「あなたは、何故ここで眠っていたんですか?」
モニターを見つめながら、謎の女性が語りだす。
「うむ、眠っていたわけではないぞ…
まあ、解ったことが幾つかある…
私には知識があっても経験や実績がないこと…
西暦に直すと5011年か…
私のような存在…迷宮といったほうが無難か?何人か存在するようだな…
この迷宮は評価試験所と記されている…お前達は少し特殊だな…走破時間が5時間22分26秒…難易度Aの走破者は…ふむお前達が最初のようだな…今までだと難易度C+がこの迷宮の最高記録か…
神聖武器の所持者…ここにたどり着いたのも納得がゆく…
しかしこんな時代が来るとはな、大きく変わったものだ…」
まず情報の整理だ…
この人が産まれたのが2978年、現在が5011年、1033年生きている?
迷宮が評価試験所、僕たちの力を試されていた。
プラムが神聖武器の所持者、おそらくあの槍がそうなのだろう。
時代が大きく変わった?
文化?生活?経済?生態系?肉体構造?人種?
あと何人か似たような存在がいる、探しだせば過去の歴史が解明できるのか?
んっ、なぜ特異な力をもっている者が存在するのか?魔物の大量発生についても聞けば手掛かりが得られるのか?
「私の槍について聞きたいのですっ!」
プラムが割ってはいる、確かに持ち主なのだから気になるだろう。
「なんで…なんで…私だったのか?」
「簡単なこと…偶然が必然となった、お前の天啓者の力【戦乙女】に槍が選ばれ、神槍がお前を選んだ…なぜそこに神槍があったのかは解らないが…かつて神槍の持ち主が深海の森で力尽きたと記録されている…」
「魔物の大量発生の発生原因は?」
「過去の記録だが小規模に定期的に発生している…原因は魔導装置の暴走や魔法開発による失敗、暴走による門の解放…新しい何かを求めた結果なのか…
ただ今回が該当するとは限らない」
「宝石色や天啓者の存在する意味は…?」
「私がこの記録を診ての見解だ…
まず一つ、人類の進化に必要だった…
さらにもう一つ、環境の改善の為の力が必要であった…
最後もう一つ、厄災、強敵に対する備え…
さてお前達もそろそろ帰らないとな…
友人が心配しているぞ。」
謎の女性が、両手を掲げると床に魔方陣が現れる…
「さあ、送ってやろう」
プラムと手を繋ぐと魔方陣に入る、今回は手を繋が無くても大丈夫だと思うが、まあ良いか…
迷宮の女性が見送ってくれる…ふとっ…思った…
少し表情が柔らかくなってるような…
「また、会えますか?」
「必然ならば会えよう…それと今お前がふた振り持っている魔剣の、ひと振りだが、あんまり使う事は勧めない…」
その言葉が最後まで聞き取られるまえに、転移が発動する…
人として生きるの良いかもしれないな…