6/117
小さな決意
僕は死んだのだろうか?
白い何もない空間に僕は佇んでいる。
魔物の爪で裂かれる感触が鮮明に思い出される…
ウルマは大丈夫だろうか?
ひとは、死の直前に記憶が走馬灯のように流れていくと聞いたことがある…
そのあと魂は帰るべきところに帰り、浄化され記憶が消え、次の肉体へと転生すると、この世界では言い伝えられている…
集落で命を落とした大人たちも、そうなのだろうか…?
自分にもっと、力があれば…
そんなこと無理に決まっている…
なぜ?
子供だから…
本当に?
絶対無理だよ…
それは、あなた次第…
僕次第…?
心を強く…ただそれだけ…
「オニキスっ!」
ウルマの声が聞こえる…
「オニキスっ!」
意識が覚醒してゆく…
ウルマは大丈夫だったんだ…
ゆっくりだが、瞼をあけてゆく…
視界いっぱいに、涙で目を張らしたウルマの笑顔が広がる…
……………………………僕は死んで無かったのか…
握ってくれているウルマの手から体温が伝わってくるのがわかった…
強くならないと…!
いや強くなってみせる!