迷宮の隠し部屋
静寂の中…微かな音が聴こえる…
何処かで聴いたことの有るような音である…
かなり深い眠りだったのか、頭がぼんやりする…
さっきより、だいぶ室温が下がっている、
外は深夜だろうか…
闘技場のような大広間の壁沿いをくるりと一周すると、はやり何処かで音がしている…
崩れた天井のせいか音の発生源を捉えにくい…
しらみつぶしに探すか…脱出方法見つけないと…
魔剣で壁や床を叩いて探すと、一部返ってくる音が違うのだ…壁に耳を当てると、やはり音が聴こえる、壁に魔剣を突き刺すと魔力を
流す。
「崩れろ…」
壁が崩れると下りの階段が現れる…
「ここから…なんの音だろ、聴いたこと有るんだけど…」
「黒うさ君、おいてけぼりは無しなのですよ」
槍を杖にプラムが歩いてくるが、よろける程の足取りだ…
「プラム駄目だよ休んでないと…」
駆け寄り支えると…プラムが恨めしそうに口を開く…
「隠し階段ですか…私も行きますよ…」
うーん、仕方ないな…
背中を差し出すと、納得したかのように背負われてくる…
「よし、行きますか」
「行くのですよ」
階段を降りる…そこそこ降りたつもりだが、まだまだ続く…
地の底まで、続いてるのかと思えるくらいだ…途中から壁画なのか、芸術なのか解らないが、様々な壁画が目に飛び込んでくる…
王を崇めているもの、怪物と戦っているもの、人と人が争っているもの…
「なにを表現してるのか、大雑把にしか解りませんね…」
「描いた人しか解らないよ…この先、遺跡でもあるんじゃないのか…んっ…音が近い…ぞっ!」
ようやく底に辿り着くと扉が待ち構えている…
「もう、嫌ですよ扉の向こうに、ヤバイやつとか…」
それは、僕も同じだ…
「鍵掛かってるのか?」
押しても引いてもびくともしない…
背中からプラムが降りると扉に近づく…
「槍が反応してるのですよ…」
扉が開くと薄暗い部屋の中央に、円柱のようなものが目に入る…
「ここは…」
異質な空間に思わず見渡す…
「一体なんなのですかね?」
プラムも驚きが隠せないみたいだ…
円柱には文字や数字が流れるように表示され消えていく…
「思い出したっ!王都で体を解析された時に聴いた音だ…何かを解析している…?」
なんの施設、装置?
敵が強かったのも、意味があったのか?
更に奥に進むと、起きたことのない状況に驚愕する…
巨大な水晶の中に眠る女性を見つけたのだ…
「なんなのですか…?」
「生きてるのか?」
プラムと顔を見合わせる…
その時、水晶の中の女性の瞼がゆっくり開かれると、水晶がひび割れ始めた…