迷宮のガーディアン
見渡す限り魔物の屍がひしめき合っている。
一体何体倒しただろう…
腕や、足が、身体、疲労感が半端ない…
小鬼将を倒したあとは、残りの魔物の掃討だ…
魔犬、小鬼、蛇、鳥と爬虫類が混ざった魔物…
最後の一体をプラムが切り払って倒すと、ようやく静寂が訪れる…
流石にプラムも槍を床に突き立て、肩で息をしている…
視線を送ると視線を返してくれる…目の下に、くまができてるくらい疲労感が出ている。
僕が小鬼将と戦っているとき、他の魔物の介入を防いでくれていたんだ。
お互いこの場所すらからも動けない…
部屋の空気が変わっていく…
魔物の屍が霧散してゆく…
ふと、小鬼将の持っていた剣が目にはいる。
戦利品だな、ゆっくり近寄り剣を拾い上げると剣を眺める、シアさんの魔剣と打ち合える魔剣だ、きっと業物だろう…
すべての魔物が、霧散すると部屋の中央に、
魔方陣が出現する。
やっと戻れるんだ…
プラムに歩み寄って手を差し出す…
プラムが手を繋ぐ、お互いボロボロだ…
お互いが頷くと魔方陣に入る…
「嘘だろ…」
「はぁ、やるしかないのですよ…」
転位した場所は、王都でも見たことが有るような闘技場だった…
すでに目の前には凶悪な魔物が配置されている…
「あついはかなりヤバイですよ、王都を襲ったやつと似ているのです…同種族?悪魔ですよ」
確かプラムも王都の防衛戦に参加していたと
言っていた、シアさんとハルさんが苦戦しながらも上位悪魔を倒したと聞いている…
あいつは上位悪魔?
全長3メートルに分厚い体躯、凶悪な角と鋭い牙、威圧感ある獅子の顔、獣の下半身に、蝙蝠のような翼…
得物は長手の斧槍を持っている…
「黒うさっ君!」
プラムの疲労度の方が高い…
待ってなんかいられない、自分に言い聞かせて上位悪魔の股下目掛けて走りだす、上位悪魔が初撃の振り下ろしを繰り出すと、石床が弾ぜ一瞬足元に衝撃が走る。
飛んでくる破片を低い姿勢で両腕で防御しながら駆け抜け股下をくぐると同時に短剣で内側を切り裂く…
「プラムっ!」
意図を察してくれると思う、何度も一緒に戦ってるんだ。
「てぃっ!」
プラムが槍に魔力を纏わせると投合する…
巨大女王蜘蛛の脚を貫いた威力だ…
上位悪魔が、斧槍で防御すると、大きく仰け反る…
背中目掛けて体重を乗せた短剣の一撃を繰り出すと深く突き刺す。
分厚い筋肉で短剣が抜けない…
短剣から手を離し石床に着地すると、魔剣に残りの少ない魔力を纏わし軸足を居合抜く…
深くは入らない…
上位悪魔の傷が再生してゆく…