譲れない
薄暗い迷宮の通路の壁に持たれながら座ると、一気に倦怠感が襲ってくる…
擦り傷や軽い打ち身が後を経たない…
あきらかにおかしい…
本当に腕試しのレベルなのか…
確かに弱い魔物や魔獣でも命のやり取りをするが、腕試しの迷宮の走破は難しくないとシアさんはいっていた…強い魔物でオークあたりが出現するくらいだと…
しかし、最初のオーガに続いて、一つ目巨人、犬頭魔獣の群れや小鬼の群れ…
強い魔物は一体だが、弱い魔物は群れで出現する…
「どう思う?」
バックパックから水袋と乾燥果実だして、プラムに渡すと違和感について聞いてみる…
「ふぅ…どうも、こうもじゃないのですよ、私が思うに徐々に強くなってきてるのですよ!試されてるかもしれないですけど…」
水を一口飲んだ後、警戒しながら話す…
「最初の魔方陣からは帰れないと思う…助けを呼ぶにも呼べないし、自力で何とかしないと…」
遠くの方で魔獣の鳴き声が聞こえる…
「なに、弱気になってるのですか!あたしが黒うさ君を守ってあげますよ!」
プラムが屈託のない笑顔で励ましてくれると、なんとか成りそうな気がしてくるのが、不思議だ…
「よし、なるようにしか、ならないから行きますか…」
「むむっ!スルーですか!まっいいのですよ」
「僕もプラムを守りますから…」
小さく背中で応える
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四方八方魔物だらけだ…
飛び掛かってくる、魔犬をプラムが刺し貫くと、そのまま槍を大きく振り回し、刺し貫いた魔犬を投げ飛ばす。
僕も動きながら魔剣を振り抜いて、小鬼を二匹仕止めると、プラムにかけより背中合わせで、魔物の群れに応戦する…
「奥のあいつが、おそらくこの部屋のボスなのですよ…」
立派な鎧に身を包んだ一回り大きな小鬼が回りに指示をあたえながら向かってくる…
「ジェネラル級!」
魔剣に魔力を纏わし、打ち合う…
魔剣が弾かれ手が痺れる…
「たかだか小鬼と油断していると痛い目見ますよ!こいつは私が…」
「僕に、任せてくれないか…」
このままでは、駄目なんだ…
プラムに譲れない視線をおくる…
「わっ、わかりました、任せるのですよ!」
僕は魔剣の柄を強く握り締め、魔剣を構えなおすと、もう一度魔力を纏わす…