血の絆
一瞬の出来事だ…!
オニキスに手を引かれ背中に身体ごと振られる…
私は目を見開いた…
オニキスが私を庇って、爪で裂かれたのだ…
「えっ…」
胸から血を吹き出し倒れ崩れるオニキスに私は条件反射的に覆い被さる…
「あっ…」
「ああああっー…」
私は目を瞑ったまま死を覚悟した…
どれくらい時間がたったのだろうか?
数秒なのか?
数十分なのか?
流れ出る血液とまだ、微かに残るオニキスの体温で私は少しずつ冷静さを取り戻すことができた…
何とかしないと…!
瞑った目を開き辺りを見ると、魔物の姿は何処にもなかったのだ?
そこには、知らない剣士がこっちを見つめていた…
「すぐに、処置をはじめます」
剣士は3本のスクロールを取り出し、スクロールに魔力を流す。
「我、魔力に応えよ、時よ減速せよ」
オニキスから流れ出る血の勢いが、かなり遅くなる…!
「我、魔力に応えよ氷となりて、化の者の動き制限せよ」
傷口の上に氷の水色の膜が形成され、出血がとまる!
剣士が問う?
「君とこの子は兄妹か?」
ウルマは応える
「はいっ!」
「この子は血を流しすぎています、あなたの血液を分けて貰います、手を出して下さい」
「痛ぅ…」
手のひらを少し切られ出血する…
「我、魔力に応えよ、血液を譲渡せよ」
私の手から流れ落ちる血がオニキスの胸の辺りで消えて行く…
血液を譲渡したせいか?私は睡魔に襲われ瞼を閉じた…