廃村
王都を出発して4日、街道を湖に沿って東へ進む、遠目に時折大型の鳥類だろう魔物が、空中から湖面に急降下しては大きな魚をつかまえて飛び去っていく…
比較的に街道は進みやすく、軍馬の二頭も機嫌が良く、ブルルッと時折鳴いたりする…
首を撫でてやると、気持ち良さそう尾を振って、更にブルルッと鳴く。
駿馬ならどこ迄も駆けて行けそうだ…
途中に確か廃村が在るとシアさんが言っていた、あれがそうかな?
既に朽ちた柵に伸び放題の雑草…
荒れた道に、崩壊寸前の家屋…
「えー!こんなとこ、よっていくのですか?なんか、嫌な雰囲気が漂ってるのですよ…!」
僕の後ろでプラムが声をあげる、前日のダメージは少しは有るものの充分過ぎる程元気だ…
「黒うさ君も、そう思いますよね、この耳で気配探ってみるのですよ!」
プラムが後ろから僕の耳をプランプランしながら言う…
「ちょ、プラム危ないしっ!」
手綱を制御しながらバランスを取ると馬を止める。
「オニキス、プラム、ここから降りて進むぞ」
シアさんが行く場所を決めているかの如く進んで行く…
雑草だらけの道を深く進むと、洞窟?が視界に入る、ここに入るつもりだろうか…?
「ここはな、力試しの洞窟だ、廃村にもともとあった洞窟が迷宮化したもので難易度もそんなに高くない、おまえたち挑戦してみるか?」
「はいっ!挑んでみます!いくよっ、プラム」
「わかりました!臨むとこですよ!」
プラムもやる気がでてきたみたいだ!
「オニキス、貸してやるっ!」
シアさんが剣帯から鞘に収まった魔剣を外しこちらに投げ渡す、ははっ昨夜も投げ渡してくれたっけ…
「私は外でまっているからな、気をつけて行ってこい、魔剣なくすなよっ!」
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「魔方陣ですね…ここに乗って、転移ってことですか…」
プラムが視線で、先に入るように促す…
「わかりましたよ、それにしても、んっ!」
プラムが僕の耳を掴むと、口を開く。
「ちょい待つのですよ、別々に飛ばされたら不味いのですよ」
「はい…」
手を差しのべる…
「はい」
手を繋いで魔方陣に入ると一瞬で風景が変わる…
プラムは?
「むむっ!なんですか?私の顔が可愛すぎますか?」
「なに、言ってるんだよ」
さて、見るからに、石床、石壁の正統派ダンジョンだな…
迷宮探索の基本マッピング、メモ用紙にペンをだすと、先頭をプラムが僕は後ろで歩きながら地図を書く、もちろん耳に意識を集中する…んっ?
「プラムくるよ!けっこうでかいぞ!」
石床から地響きが伝わる…
「大鬼か!」
大きな棍棒にボロ布のような衣服、はち切れんばかりの筋肉が凶悪さを物語っている
視認で確認出来るとプラムが走り出し、僕は追いかけると同時に、魔剣の鞘に手を掛ける
…
多分行けるはずだ…!