紅水晶と水宝玉5
目の前の巨漢の男は、あきらかにチンピラ風情と一線を画す、本物の戦いに身を置いている者だ、武器を使うか…?もしくはモルちゃんと二人なら、なんとか勝てるかも…
ユアンナは割れた瓶の飲み口を巨漢の男に投合し、一足跳びで、モルスの横に戻るとモルスから、避難所で手に入れた短槍を受け取り構える…
店のマスターが巨漢の男に何か言おうとするが巨漢の男が声を遮りながら喋る…
「おうおう!子供がそんな物騒なもん持っちゃあぶねえぜ!まぁ、やるつうならやるけどよう!」
「モルちゃん…やるよ!」
モルスも避難所で手に入れた大剣をフラフラしながら構える。
「ちょいちょいちょい待ちっ!もう一人の奴!おまえっ!ほんとにそれでやる気かあ!」
あきらかに巨漢の男が同様している…
ユアンナが先制を取ると刃先と反対の石突で連続の突きを繰り出す。
男の大きさからして回避するタイプじゃない…きっと受けるもしくは捌くタイプだ…!
巨漢の男は腕のガントレットで連続の突きを弾くと拳を構え喋る…
「刃先は使わないのか?いい心掛けだっ!」
流石に王都で刃物沙汰は不味いのだ。
続けてモルスが大剣を振りかぶると、スローモーションの縦切りをぶちかます…!
「うぉっと!おいおい!おまえはヤバいぜ!」
流石に避けれる速度は避ける。
巨漢の男がふぅと息を吐くと構えを解除する。
「やめだやめだ!おまえら集落の生き残りだろ?あと、あいつらの捕獲協力に感謝だ!」
「「んっ?」」
ユアンナとモルスが顔を見合わせる…
複数の足音が近づいてくる…
「隊長…昼休憩でしたか?住民から通報がありましたがチンピラどもは?」
巡回の衛兵が駆け状況の確認行っている。
「あそこで、のびてる奴らがそうだ!」
巨漢の男が親指で示す。
「これは隊長が?ご苦労様ですっ」
「いや、あそこの嬢ちゃんだ、大活躍だったぜ、でおまえ達は難民希望者か?」
巨漢の男が話し掛ける。
「難民といや難民ですけど…人を探してるんですっ…
黒毛の兎人種と白毛の兎人種の兄妹です、黒毛の方は大怪我してるはずです…」
モルスが応える。
「あっ黒うさの坊主か、オニキスのことかっ!」
ようやくだ、手掛かりが掴めた…
「黒うさの坊主なら旅にでたぜっ!」