紅水晶と水宝玉4
昼を知らせる鐘が鳴り響く…
空には鐘の音に驚いた街鳩たちが止まれる足場を探すかのように羽ばたいてゆく…
王都の石道は歩き易いが、それだけ疲れが貯まりやすい…土の道と違って振動の吸収力が違うからだ…
修道院や病院、教会と回ってみたが手掛かりが、得られなかった…
流石、王都と言うべきかお昼になると所々に良い匂いが漂ってき、二時間前に串焼きを食べたはずの二人の胃を刺激する…
「モルちゃん少し休憩しようか…」
王都についてからモルちゃんの様子が少し違うと言うか、怪しい…いや、うーん
適切な言葉を使うと…思い詰めている!
そうだ!思い詰めている感じなんだ…!
確かオニちゃんがヤバいと言っていた、集落の襲撃から、わたしやモルちゃんの見えない力が増している気がする…
魔力を流すだけで発動する身体強化魔法が、以前の数倍なんだ、集落では力の制御は大事だと長老様が言っていた…
ちょうど良いお店に入り、空いてあるテーブルに腰掛けると飲み物とサンドイッチを注文する。
「おじさーん、サンドイッチ2つと果実水2つお願いしまーす」
ユアンナがカウンター奥にいるマスターに注文する。
「んだとっお!どうなってるんだー!この店は客に虫を喰わせるのかぁ!んんぁ!料理に虫はいってぞー!えぇ!これがうちの料理なんですよぉ!とか通じないからなぁ!」
ガラの悪い男にウエィトレスのお姉さんが、文句を言われている。
「アンナちゃん、あれ言い掛かりだよ、あいつらが虫をいれたんだ…」
モルちゃんがそういう前に、思わず椅子が倒れるくらいの勢いで立ち上がる!
「「ちょっと待ちなっ、さいよ!」」
んっ?!
今誰かと声が被ったようだかユアンナは気にしない!
「お兄さんたち!言い掛かりは止めなよ!こずるい真似して…!」
「なんだぁ!このガキぃ!」
ゲラゲラと周りの男たちも下卑た笑いをしている…
「あたし見たわよ、虫いれるとこ!」
「お兄さん達良くないですよ…」
アンナちゃんがトリガーを引いてしまったので参戦しないといけない…
はぁ…一応目に魔力を流す。
「ガキはおうちに帰って、おままごとでも、しとくんだあな、あー忙しいぃなぁー!おい!アーハッハッハッ」
「ハッハッハッハッハ!腹いてぇー!超いてぇー!誰か医者呼んでくれぇー!あーはっはっ!」
「ぐえっ!?」
ユアンナが魔力を体に巡らせると、ひと跳躍で跳び膝蹴りを繰り出す!
文句をつけていた、ふざけた男がなん回転もしながら吹き飛び、壁に激突して止まる。
「このっ…!?このやろぅ!」
取り巻きの3名の男が得物を取り出すとユアンナに襲い掛かる。
「アンナちゃん、右、右、一歩引いて!」
ユアンナは近くにあった酒瓶を手に持つと一回転さして飲み口に持ちかえ、男の短剣の突きを右に避けると瓶で頭部を打ち抜く。
続いて手斧を振りかざす男の上段からの攻撃をさらに右に避けると股関に打ち付ける。
最後の男が長剣で横なぎの一撃を放つが一歩引いて下がり、酒瓶を両手持ちしなおし顎めがけて打ち抜くと酒瓶がパリーンと割れる。
「お前ら派手にやってくれたなぁ…」
巨漢の男がテーブルから立ち上がると言葉を放つ。
ユアンナが魔力を全身に巡らせ身構える…
巨漢の男から古強者の気配が放たれる…
ユアンナの額から緊張の汗がこぼれる…
表の通りから、おそらく衛兵だろう、足音が響いてくる…