紅水晶と水宝玉3
大きな門を抜けると丈夫そうなたくさんの建物…
広い大通りは行き交う人で賑かだ…
大通りを挟んで露天が立ち並び、いい匂いが鼻腔を刺激する…
ぐぅ
「モルちゃん何か食べよう」
モルちゃん、考えると長しなぁ
ぐぅ
「………足取り…手掛かり…ぶつぶつ…」
ぐう
「モルちゃん、お腹凄いなってるよ」
仕方ないか、近くの目に入ったベンチにモルちゃんの手を引き座らせる。
「酒場、兵所…………冒険者ギルド……ぶつぶつ」
「モルちゃん食べるもの買ってくるから、まってるんだよ」
うーん、いつ戻ってくるんだモルちゃん…
どのお店がいいかな、どこでもいいかあ…
うん、あそこにしよう。
客が多くもなく少なくもなく無難な屋台、この店の売りと言えば気さくな店主の対応くらいかな。
耳の良いユアンナは周辺の屋台の接客対応を聞き分けると、その屋台を選んだ。
「おじさーん、串焼き2本くださーい」
「まいどありっ!嬢ちゃん見ない顔だね、王都は初めてかい?旅人かい?おっと無用な詮索は王都じゃ、ご法度だ」
店主は話好きなのか、よく喋る…
「はいっ!今日来たんですよ…」
「そうかい!ようこそ王都へだな!よし、こいつはおまけだ!串焼き2本で4sGだ!」
小さな串焼きを一本おまけしてくれる。
「おじさん、ありがとう!」
1G硬貨を渡して5sG硬貨と1sG硬貨のおつりを貰う。
「そういえば!少し前にも嬢ちゃんと同じくらいの兎人種の子みたな、まぁ兎人種は多いからな、なんつうか雰囲気が似てたんだよ、毎度ありっ!」
ふむ、おじさんの言ってた子たぶんウルマちゃんかな…?
さて、モルちゃんはと、あーいたいた…
「モルちゃん買って来たよ」
ひと串し、モルスの目の前に差出し少し降ってみる…
「…………ぶつぶつ」
「えいっ!」
串焼きをモルスの口の僅かに開いた瞬間を狙い突きを放つ!
「ぶつぶつ………ぶっ……んっ!…もきゅ!」
「おかえりモルちゃん」
ユアンナも串焼きを頬張るとしばらく、食事タイムだ。
「そうだアンナちゃん、オニキスとウルマちゃんの足取りなんだけど、保護されてる可能性が高い…あの時オニキスは死んではいないが大怪我をしたのは間違いない、まずは病院か、教会で奇跡の行使を使える人をあたる、見つからなくても手掛かりがある筈だよ」
モルちゃんが答えを見つけたみたいだ。
「そうだ、さっき屋台のおじさんが、たぶんだよ、ウルマちゃん見たことあるって言ってたよ」
おまけの串焼きを頬張りながら、ユアンナが応える。
「ウルマちゃんか…手分けして探したほうが効率的か…アンナちゃん、ボクのは?」
「んっ、ああこれおまけで、わたしが貰ったんだよぉ、ごめんねぇモルちゃん、よし!ほかの買って食べながら探そう!」
「う、うんそうしようか…」
モルちゃんが少し元気なさげだが大丈夫だ。
ふぅーお腹も、いっぱいだ…
気持ちを切り換えて探さないと、モルちゃんの示す予測は正しいと思うけど、わたしが予想外を取り除かないと…
王都かぁ、わたしも服欲しいなぁ
行き交う人達を見詰めながらユアンナはひとり呟いた…