魔王国防衛戦決着
あまりにも、手応えがないのだ…
主天使とは、この程度なのか?
これでは魔境の最深部を棲みかにする古代竜や不死の王、目玉の魔物の方が脅威度が高いのだ…
もしこいつが、劣化番の偽物生物だとしたら納得はいく。
「お前は何者なのだ…」
「………………」
「目的はなんなのだ?門の解放か?」
「………………」
「天啓者はなぜ王国と魔王国に多く出現するのだ…?」
「………………」
「憐れな存在だな…妾の知っている天使は、もう少し話ができるぞ…」
大剣に充分な魔力が行き渡るのを確認し詠唱にはいる。
「深き地の底より目覚めし刃よ幾億の魂を経て、幾億の時間を経て甦れ…果たすべき使命は永遠の糧となれ、果たすべき約束は魂で紡げ、自由を求めたければ、自由に振る舞え、今ここに契約の一時破棄を!顕現せよ漆黒の名を失いし天使よ」
大剣を中心に七芒星魔方陣が展開され魔方陣より12枚の漆黒の翼を持つ名を失いし天使が顕現する。
(魔女よ願いは…)
「久しいな名を失いし天使よ、妾の願いは勝利だ、敵の魂は喰らっても構わんぞ…」
主天使が完全再生し槍の一撃を12枚の翼を持つ天使に深く突き刺さす。
12枚の翼を持つ天使は槍で貫かれても、何も無かったように、主天使の頭を鷲掴みにすると言葉を紡ぐ。
(同族か…魂喰い)
主天使がもぬけの殻のように地上に落下する。
12枚の翼を持つ天使が残りの大天使、魔物どを喰らってゆく…
「名を失いし天使よ剣に戻れ…」
結局、何も分からなかったか…いや
もぬけの殻だが調べる価値はあるだろう…
ちょうど、賢者もおるしな…
砦城壁に降り立つと兵士達が集まってくる…
プルメリアが大剣を掲げる!
「皆の者、ご苦労であった…我々の勝利だっ!」
「「「「「おおおぉぉーー!」」」」」
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戦の勝利の余韻にひたり、兵士たちが宴を開いている、もちろん妾も参加しておる。
兵士達が次々に祝辞と料理と酒を運んでくる。
時折、酔っぱらい通しが喧嘩を始めたりして騒がしい…
まあ良いか、宮廷楽士の演奏で楽しむ酒も良いが、兵士達と飲む酒も格別だな…
「陛下これ美味しいですよ!飲んでますかっ!」
「おいおい、妾はもう食べらんぞ!」
空を見上げると月の明かりが柔らかく、眠気を誘う…
魔力けっこう使ってしまいましたしね…
側付メイドが毛布を持ってきて女王プルメリアに掛けると、すぐ側で護衛に撤する。
まだまだ宴は続きそうだ…
「終わりましたか…さて、もうひと仕事やりますか…」