魔王国防衛戦3
砦に明かりが灯され、本格的に夜戦に入ってくる。
国と国の戦であるならば、ある程度の約束事が暗黙の了解で決められており、夕刻に入ると一旦引き揚げたりするのだが、今戦っているのは魔物である。
「女王陛下、しばし休憩なされては…」
近衛騎士が進言する、魔女の女王プルメリアは開戦と同時に戦術級魔法を行使し、現在も休むことなく、上級魔法を行使し続けているのだ、王宮宝物庫より持ち出した、魔法具の使用が有ればこそ数の不利を無効化出来ている。
側付きメイドが時折、使い終わった魔法具を片付けにはいっているが、徐々に数が減っているのはあからさまだ。
「陛下、私目が少し交代しましょうか?」
緑色の頭髪に彩飾豊かな洋服…先日の正装とはうって変わって、派手である…
「ふ、ふむ、誰かと思えば賢者か誰か分からなかったぞ、してやはり帰れなんだか?」
攻撃魔法を放ちながら、賢者に話す。
「はあ、流石にこの中を帰る勇気は持ち合わせ有りませんね…それにしても貴重な宝物を出し惜しみ無しですね、ハハッ…」
古代魔法王国前期の魔法の杖や短杖、指輪…
どれも一級品だ…
「くすねるでないぞ…しかし、くれてやらんでもない、そなたも代わってくれると言っていたしな、どうじゃ?この戦いが終わるまで手伝うのが依頼だ?ここの魔法具の使用も許可しよう。」
「もちろんですよ陛下、ささっ!ご休憩なさって下さい、これは凄いですな古代魔法王国中期の名工ボルタックじゃないですか!」
早速魔力をながし、ボルタック銘の魔法の杖を振るってみる。
広範囲に渡り光が放たれると、魔物が徐々に石化していく、石化魔法だけではないはずだ、ごっそり魔力を持っていかれる…
石化した魔物どもが、石の彫像となり魔物に襲い掛かる…
「ほう、特異魔法具か、妾のときは出てこなんだのにな…賢者よ引きが良いな。」
魔法の大剣を透して、戦場の状況が伝わってくる魔物の群れが3000体を切ったところで逃走する魔物も出て来ているみたいだ…
…!?
見えたっ!
巧妙に隠蔽している、外見からはボロ布を纏った大鬼だ?!幻術…いや!?魔術!?で擬態しているのか…!
大剣よ奴の正体を暴くのだ…
プルメリアが指示をだすと大剣が速度を上げ大鬼に擬態した何者かを串刺しにする。
串刺しになった大鬼の外見が割れ消滅すると、空中に白い翼の槍を持った神々しい天使が現れる…
「あれは!?」
「主天使ドミニオン?!」
確か、王国で魔物を率いてたのが上位悪魔だったな…
聖女のいる王都に上位悪魔…
魔女のいる魔王国には主天使…
「フッ何の冗談だか…」
ドミニオンは槍からの光線のような、魔法を放つと砦に一直線に飛んくる。
「やらせるかっ!」
プルメリアは咄嗟に防御魔法を展開し、砦への攻撃を阻止する…
「賢者よここは任せたぞ!あいつを沈めて、戦を終わらせるぞっ!」
プルメリアは瞬きするとドミニオンまで短距離転移する。
「さあ、決着をつけようではないか」
プルメリアの前に大剣が飛来する!
大剣の柄を強く握ると静かに、そして力強く構えた…