魔王国防衛戦
天井高い空間に十本の柱…
柱一本一本には魔獣の浮き彫り細工が装飾されており玉座に座る者を飽きささない。
そんな宮殿の柱を避けながら泳ぐかの如く浮遊する魔法の大剣を眺めながら考える…
天井より垂れ下がる国旗には、七芒星の魔方陣…
「ふむ、厄介な事だ…」
玉座の肘置きに頬杖をつき目を瞑ると、今後起こりえる事を考える…
一番に浮かんだのが、有事だ…
王国に襲撃があった時から、予想し最大限の準備は出来ている。
「はあ…」
ため息を吐く…
自分自身が最前線で戦うのが一番被害が少ないのだ…
それが叶わないのが腹立たしい…
もちろん兵士達の強さを疑っている訳では無い、むしろ精強であると自負出来るほどだ…
「たくさんの命が散るな…」
玉座の前方に浮遊する幾つかの水晶球に映る映像が、突如消滅すると同時に配下の有翼の魔人が報告に慌ただしく駆け込んでくる。
…!?
「早速きたか!?」
「陛下っ!国境に魔物の大軍がっ!その数およそ1万」
「おいおい王都襲撃の20倍か、想定外の数だな…確かな数字か…?」
「はっ!上空より魔眼持ちが観測魔道具持いたので確かな数字かと思われます!」
「うむ、して存在する強固体の存在は?」
「はっ!100体は下らないかと…」
「予測到達時間は?」
「行軍速度は微速です、砦までの到達は夕刻から夜半にかけてかと思われます。」
「砦に向かうぞっ…!指揮は私が直接下す!領内には一体たりとも足を踏み入れさせぬぞっ!」
目的はなんだ…?門の解放…すなわち私の死…
……面白いではないか…!
右手を掲げると魔法の大剣が戻ってき、手の中に収まる。
「少し城を留守にするぞ!」
言葉を紡ぐと、プルメリアの姿が消えた…