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黒い兎の冒険譚 勇者の存在しない…この世界で…  作者: 黒うさモフル
第三章 冒険の旅に
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下位水竜

湖の和やかな景色に少し眠気が誘う…


疲れていないと思っても魔力や体力が戦闘で消耗しているのだ…


途中まで読んだアルカさんの書類、手紙?

を眠気に勝てずバックパックにしまうと、腰掛けていた岩から立ち上がり、両手を上げて目一杯の伸びをする…!




んっ…?




目の前の水中を高速で泳ぐ何かが横切る…全長にして、20メートル以上?!


いや目視の計測ほど不確定なものは無い…


速いっ、とにかく…水棲の魔物だ…








ザァパァッッッン








急いで出来る限りの装備をしていると遠くの方で、大きな水飛沫(みずしぶき)が上がる。




シアさんとプラムが水浴びをしに行った方角だ!



二人とも武器はっ?

シアさんの魔剣とプラムの槍が置いてあるのが目に入る…!



届けないとっ!



武器まで駆けより手にしようとした瞬間…



フッと槍が消える…



プラムの元に消えたのか!


魔剣を手にしようと手をかけた瞬間に雷撃をもらったような痺れが手に走る…直ぐにわかった…


魔力の質の違い…


大丈夫だ…自分に言い聞かせ…柄を握る…


一瞬、頭の中に魔獣が姿が流れ込んでくる…


雄々しき角の四足の獣、黒い体躯に獰猛な牙


深呼吸を数回し高鳴る心臓の鼓動を落ち着かせると、魔剣を持って走り出す…








シアさんとプラムが直ぐに目に入った!



プラムが水棲の魔物と既に交戦状態に入っている…!


「くっ!」


腰まで水中だ水の抵抗で思うような体捌きが出来ず苦戦している。






シアさんが体術で牽制しているが効果が薄い…



「シアさんっ!」



僕が魔剣を投げるとシアさんが驚いた顔をする。



「嘘っ…だろっ…!助かったぞ…オニキスっ…!」


鞘から魔剣を引き抜くと走りながら、水棲の魔物の鱗を切り裂く。



「気を付けろ!下位水竜(レッサーサーペント)だっ!ここは奴の領域(テリトリー)だ!陸にあがれ!」


シアさんが叫ぶと、プラムが陸に後退しようとする瞬間プラムの背後から下位水流の尾の一撃が入る…!


「ぐぅっ…がぁ」




不意を憑かれたプラムが、ぶっ飛び水飛沫(みずしぶき)があがる…




「急げ!オニキス助けにいけっ!こいつは私が引き受けるっ!」



今の一撃はプラムでも流石にまずいぞ…完全に不意を打たれた…


ましてや防具無しだ致命傷の可能性がある…


プラムが飛ばされた辺りに飛び込み探すが、戦闘のせいで湖底から泥が水中に溢れ帰り視界がゼロだ…


焦る…



目をつむり聴覚を集中させる。



「助け…て…」


空気が漏れる音とプラムの声が聞こえた…



伸ばしたプラムの手を掴むと一気に引き上げ、湖上を目指す。



バシャッ



湖面からプラムの頭を先に出し、出来る限り陸に近づく!



「でかしたぞ!」



シアが下位水竜(レッサーサーペント)に少なからずダメージを与えている。


的が大きなぶん魔剣を振るえば致命傷では無いが何処かには当たるのだ、また要所要所に魔剣を使い足場をつくって、下位水竜(レッサーサーペント)の進路を狭めている。




時間が立つに連れ、下位水竜(レッサーサーペント)が距離を取り始め…湖底に消えていく…



「オニキスっ!プラムはっ!?」




陸上に上がりプラムの背中を叩くと、気道に溜まった水を吐き出し小さいが呼吸を再開する。



「大丈夫ですっ!シアさんっ水竜はっ!」




シアさんが駆け付けながら応える。


「逃げられたよ…逃がされたか…キャンプに戻るぞ…」



プラムを背負うとキャンプに足を運ぶ、ふと肩に乗っかかる顔をみると、さっきまで悪かった顔色が安心したかのように寝息を立てていた…


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