黒瑪瑙
木々の葉が赤く色付いてきている、峠の坂など、物ともしない力強い蹄の足音が、旅を実感させる…
実際長時間、乗馬していたら、尻や腰が痛くなるが、そんなものは全然気にならない…
前方の馬上のシアさんは眠そうに、うとうとしていて、たまに頭がガクンとなり、その後キョロキョロとしている仕草をみせる…
完全に居眠りだ…
プラムはというと、手綱を操る僕の後ろで寝ている…
二人とも昨夜の戦闘で魔力を使い過ぎたのだ、それほど昨夜の巨大女王蜘蛛が厄介な相手だったのだ、あの後シアさんは蜘蛛は嫌いだと言っていて、プラムもうんうん頷いていた…
原因は他にもあるのだ…!
二人がもらった糸攻撃だ…!
戦闘後、糸を焼き切り自由になった二人が言った言葉はお風呂や水浴びがしたいだった…
僕は小鬼の返り血を拭えばよかったが、二人に付着した粘性の高い糸はそう簡単に、落とせるものでは無かったようだ、それなりに洗剤や薬品は売られているようだか、普通は携帯していないものだ、持っているのは普通の石鹸くらいだ…
夜営時に交代で見張りをしたが、僕以外の二人は殆ど睡眠が取れなかったらしい…
そんな二人をよそに僕はご機嫌なんだ、昨日の戦闘で上手く立ち回れた上に止めを刺せたのだ!
そうこうしていると峠の頂上に到達し見下ろす視界に大きな湖が広がる…
湖の表面が太陽の光を反射させる。
見たことの無い初めての景色に世界は広いんだと、僕は心踊らされた。
「オニキス見るなよー」
「ご飯の用意宜しくなのですよー」
峠を下り湖までたどり着くやいなや、二人は必要なものを持って湖に駆け出していった…
僕は火を起こして、携帯食糧と道中採取したもので簡単な食事をつくる。
二人は時間が掛かるだろう…
居眠りするわけにも行かない…
ふとバックパックからアルカさんから貰った、僕の遺伝子解析がどうのこうのいってた紙の束が目に入る…
そういえば目を通しておいてくださいと言っていたな…
丁度よい良い岩に腰掛け、目を通す。
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【name】オニキス
【type】兎人種 黒毛
【collar】宝石色黒瑪瑙
【skill】変換 抵抗零 陰
(変換)
魔力を流す際の魔力の最適化が常時行われている、これによって魔法具の使用時に魔力不都合が発生しない。
(抵抗零)
魔法具に魔力を流す際の魔力ロスが発生しない、少ない魔力で魔法具が発動出来る。
戦闘時における敵からの魔法攻撃に対する抵抗とは別物なので間違わないでほしい。
(陰)
ウルマの陽と表裏の能力、推測の粋だがウルマの非覚醒時にウルマの能力が使用出来る、またオニキスが非覚醒時にはウルマがオニキスの能力を使用出来ると思われる、距離が離れている場合は発動しない。
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まだまだ、宝石色や金属色は、未知な部分が多い…
これまでに集められている膨大な遺伝子情報に、君の遺伝子情報を照らし合わせた結果を記載してみた、君の能力は非常に魔法具操作に特化しているといえる。
ウルマの能力な関しても非常に興味深い結果だけに、二人伴っていないのが少し残念だ、君の帰還を心より願っている。
何度もいうが決して命を大事にするのだ。
君の旅が順調であるように…神の加護を…
アルカ
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