賢者の解析
静まり返る空間に無機質な作動音が規則正しいを音を奏でいる…
空中を浮遊するオーブが時折が光り、空間を明るくする。
診察台に横たわる、白い大きな虎…
「ほお、なるほど…フフッ…やっぱりそうか…」
凄い速さで文字が流れる画面を一人納得しながら呟く。
「ふわぁ…シーサン何か、わかったのー?
独り言の声でかいしー」
眠たそうな、目を擦りネムが聞く。
「起こしてしまいましたか、フフッ」
緑色の髪に、特徴的な彩色の衣服が目立つ…
「うっ!目覚めにパステルカラーがっ!」
思わず目が霞んでしまう…
「ようやく解析が終わったんですよ、いやーほんとっ、大変でしたよー、時間かかりました、はい、フフッ」
「そーなの!じゃ今日は、依頼ないよね?うんうん、よしっ!これ以上働くとブラック認定だよ!」
「仕方ありませんね、ネムさんもパールさんも良くやってくれてますからね、ハハッ」
「ほんとですかっ!今日はもう魔導解析しなくていいんですかっ?ほんとっ画面見てると、目が痛くて、乾燥して…うぅ」
「いやいや、私酷い雇い主みたいじゃないですか…ハハッ」
「でなにが、わかったのよー?もちろん教えてくれるんですよね、私たちこんなに働いてるんですよー!」
「うんうん真相が聞けるんですよね、賢者シーサン」
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大きなクリスタルのモニターを正面に、シーサンが陣取る。
モニター前の机にネムとパールが着席する。
「コホンッ、先日回収した魔白虎を解析してわかったことですが」
シーサンが指に魔力を灯すとモニターに魔白虎が出現し、枝分かれするかのように虎型の魔獣が写し出されていく。
「はいっ!」
パールが挙手をする。
「はいっ!パールさん!」
シーサンがパールさんに返事する。
「魔白虎はやはり、虎系魔獣の変異体と考えて良いのでしょうか?白いアルビノ種かなにか?魔力暴走?他の生物からの何らかの感染?特定の食物摂取?…人為的改造?」
パールが興味深く質問する…
「本来ならば、その見解が妥当ですよ、パールさんの言ったどれかに該当するでしょう…フフッ」
「じゃあ、ちがうんだよねー?あたしも、魔物いろいろ見てるけど、あのこ違和感ありありだったよー」
ネムが頷きながら発する。
「はい違うんですよ、フフッ」
シーサンが指に魔力を灯すと枝分かれして表示されていた虎種から魔白虎までの道筋に赤いラインが走っていく…
虎種一体一体からラインが、伸びて行っては途中で止まる…
魔白虎まで到達する虎種の該当がない…
「はいっ!」
パールが挙手する
「はいっ!パールさん!」
「虎種じゃない可能性は?例えば海豚種、鯱種が鮫種と似ているように?似て異なる種?もしくは擬態種?」
パールが顎に指をそえながら質問する。
「うんうん、そうなんです、私もその線考えましたよ、フフッ」
「じゃあ、違うてことですよね?」
ネムが言葉を繋ぐ…
シーサンが指に魔力を灯しパチンッ!と鳴らすとモニターを越えて360°
魔白虎と他の生物達の生態系関係図が展開されていき虎種と同じように赤いラインが伸びては魔白虎に到達出来ずに終わる…
「これって!?あり得るんですかっ!?普通なら絶対あり得ないですよねっ!?」
パールが思わず声を上げる
「この世界の魔物じゃない…!?」
ネムが珍しく真顔で呟く。
正面のモニターに解析結果が表示される。
100%該当無し