練兵所にて2
ギンッ ガンッ ガンッ
耳に聞こえる金属のぶつかる音…
力を込めた掛け声や戦いながら話をしている声が聞こえてくる…
「目、さめた…」
小さくても優しい声だ…
「大丈夫ですか…?」
知らない声に、一気に意識が覚醒する。
「はっ!」
がばっと上半身を起こしたとき、額に乗せられた固く搾ったハンカチが落ちる…
そうだ、シアさんに稽古をつけて貰っていたんだ!
「あそこですよ」
シアさんが大きな兵士と模擬戦闘を繰り広げている…
「ギルガメス、少しは力任せの癖を直せって昔からいってるだろう」
シアが刃引きした広刃の剣でギルガメスの両手剣を打ちつける。
「ぐっ、それは俺だけですかいっ!」
ギルガメスが両手剣で押し返さんと力を込める、腕の筋肉が震えているのが遠目にわかる…
「むっ、それは私のことか!」
シアさんが広刃の剣でつばぜり合いするように力を込める、が一拍あけて力を抜いたように見えた、ギルガメスさんがつんのめる体をこらえ体勢を保った瞬間、シアさんの左の膝蹴がギルガメスの肝臓の位置に食い込む…
「あっギルさん負けちゃいましたね」
声の主に目線を向ける…
綺麗に纏まった薄茶色のマッシュボブ大きな鳶色の瞳が印象的な子、そうだ昨日の槍の人種の女の子だ!
額から落ちた絞られたハンカチを手に、彼女に返す。
「これは君が…?ありがとう…」
良くみれはハンカチが少し汚れていて、おそらく顔を拭いてくれたのが解った。
「プラムよ、大丈夫なのですよ」
軽く笑ったあと腰をあげる。
「あっち見に行かなくちゃ…」
槍を手に立ち上がるとシアさんとギルガメスさんの元に駆けていく。
僕も立ち上がるとシアさん達の元にフラつくが駆けていく…
シアさんはこっちに気付く、視線をこちらに向けると苦笑いし口を開く。
「オニキス気が付いたか!いやー怪我は無いようだな、良かった良かった!」
シアさんは自分自身に言い聞かせ、僕の肩を軽く叩いてきた…
「プラム、ギルガメスを任せてもいいか?」
「ギルさんなら大丈夫ですよ、頑丈が取り柄ですから、次はわたしの番なのですよ」
プラムが持ってきた槍を立ててシアさんに稽古を申し出る。
「そうだな、ギルガメスならほっておいても大丈夫だろう…」
二人は少し離れた空いた場所にいどうする。
シアさんが自然体に構え、プラムさんが槍をくるくる回してからを構える。
回りをみると、いつの間にか模擬戦闘をやめ二人を遠巻きに観戦者が増えていた…