答えを探して…
人で溢れ返す大通りを見ると、先日の魔物の大量発生が嘘のように、どの商店も賑わっている。
人種、獣人種、亜人種が多く、たまに魔人種などが目に入る。
「ちょっとオニキス、そんなにキョロキョロすると、おのぼりさん丸出しだよ。」
ウルマが呆れ顔で言う。
「それはお互い様だよ、ウルマ」
明かにウルマも目に入る建物、売っている物、行き交う人に、視線を移しまくりなのだ…
「それより、昨日の事だけど、ウルマはどうしたい?ハルさんの言っていたように王国に住んで学園とか通ってみたい?」
空いているベンチに腰掛け聞いてみる。
「うーん、通ってみたいような…気もしないでもないけど…」
本当なら集落でも集会所で勉強をしている年齢だ…
「普通に考えたらそうだよね、わかった」
「オニキスはどうするのよ?」
道行く冒険者を眺めながら答える…
「僕は、もっと世界を見てみたいな…」
「そうかーそうだよね…」
ウルマが何かを察したように返事する…
「まだ時間はある、よく考えて返事をしよう…」
「うん」
ウルマが頷く…
王都を散策し終え帰る途中、遠くない何処かで戦闘音が聴こえてくる…音の方へ足が動いていき、広まった場所が目に入る…
練兵所か…?
何人かの兵士や冒険者が、訓練に勤しんだり、型稽古や模擬戦闘を各々に行っている…
「あの魔物の大量発生のあとだ、みんな真剣だね…僕達はその場に居なかったけど魔物の頭目が強かったっていって言う話だったね…」
ふと、練兵所を眺めていると年の頃も僕たちと、そう違わない人種の女の子が大きな兵士相手に模擬戦闘を行っているのが目に入る…
得物は訓練用の先端の丸い槍だリーチの長さを生かして的確に急所を突いていく。
大きな兵士が一瞬、魔力光に包まれ被弾しながらも反撃に転じ木剣を振り抜く。
魔力を纏わせパワーを速度に乗せた一撃だ…
ガンッ!
鋭い重い音が響いてくる…!
人種の女の子は、槍の柄で受け止める。
力差で吹き飛ぶと思いきや、そのままの姿勢で5メートルほど後退させられる、地面にレールような後ができ、砂煙があがる…
「嬢ちゃん、今日はこの辺にしようや!」
大きな兵士が人種の女の子に声かける、体と同じように大きく響く声だ。
人種の女の子は、攻撃を受け止めたままの姿勢で数十秒固まっている…
「わかりました!」
人種の女の子は槍を立てると元気に、返事を返した。
僕たちの視線に気付いたのか、一瞬こちらを見ると、直ぐに大きな兵士視線を向けお礼の言葉を述べる。
「ありがとうございました!」
「おう!」
大きな兵士は片手を上げて応え、兵舎に戻ってゆく。
人種の女の子も、借りていた槍を所定の場所に戻し、兵舎の方に入っていった。
人も少なくなってきた、練兵所の訓練場に夕日が差し込んでくる…
そこには強さに憧れる男の子の顔があった…