迷い
今、僕は簡素な調度品で整えられた部屋の一室にいる、もちろん妹のウルマも一緒だ。
机を挟んで正面にシアさんそのとなりにハルさんが座っている。
先刻の検査が終わりハルさんから呼ばれた、今後の事を決めるのだ…
王国の特務隊で同じ兎人種ということで、気に掛けてくれているようだった。
「呼び出して悪いな、今後の事についてだが、君たちが考えてることがあるなら教えて欲しい、私としては王国で生活してみてはと思うんだ、もちろん王国学園や練兵所に通ってくれて構わない、君たちなら王国から支援があるだろうからな、悪い話ではないと思うのだ。」
ハルさんの提案に、悪いところは無い。
もしかしたら、宝石色持ちの為、宮仕えや隊に入らなければないかも知れない、でもそれは恵まれた未来だ…
集落で命を懸けて大人達が逃がしてくれたのに…
仲間の子供達を上手く誘導出来なかったのに…
強い魔物が居たから、仕方がなかった…
いや違う…
もっと慎重、冷静にになっていれば…
違った結果に、なっていた…
不足している…知識も…経験も…強さも…覚悟も…
王国に居れば安全に強さを手に入れられるかも、知れない…
でもそれで良いのか…?
「オニキス迷うんだったら、直ぐに答えを探そうとしても駄目だぞ…そんな答えは正解じゃないからな、ハル…時間を少しやってくれないか?この子達には時間も必要だよ。」
シアは、オニキスの考えてることを見透かしたようにハルに告げる
「そうだな、せっかくだから王都を見て回ったらどうだ?返事はそうだな1週間後にしようか、よく考えて返事を返してくれ。」
ハルはそう告げると仕事に戻っていった。