2/117
燃える炎
その日、平穏な日々が崩れ落ちた…
魔物の大量発生…偶然なのか?必然なのか?
王国より遠く、深海の森を抜けた西の集落にオニキス達の集落が存在していた。
「長っ!集落はっ!…持ちませんっ…!」
傷だらけの狩人が村長に息荒く報告する。
「子供と戦えぬ者は、森へ避難させよ、王国にも保護と救援を要請する使者をたてよ!我々は、出来る限りの事をする!」
村長の言葉で集落の大人達は無言で頷く、皆大人たちは、覚悟を決めていたんだ…
家屋は燃え崩れ落ちる、黒い煙りと砂埃が舞う、遠くない所で鳴り響く戦いの音と魔物の咆哮…
「オニキス、ウルマ、逃げ延びなさい…あなた達が一番年長なんだから、他の子を頼むわよ…」
「母様っ…!」
「大丈夫…なに泣いてるの…男の子でしょうに…さあっ!生きなさいっ!」
それが母様と交わした最後の言葉だった…