王都決着
上位悪魔を周囲から取り囲んでいる騎士、傭兵が、攻撃を仕掛けるが、一合二合と打ち終わることすらなく、行動不能となり戦線離脱を余儀なくされる。
「前後左右から挟撃するぞ!」
ハルがシアに指示を振る。
「了解した」
シアは短く返事を返し戦闘に集中する。
2対1の場合二人で相手を挟む、前後左右からの挟撃は最善手だ、ただ相手が人間の場合だ…
正面からハルが魔剣を左右に振り、上位悪魔の槍と打ち合い
回り込んだシアが軸足を切りつける、シアの振るう魔剣も悪魔殺しまでもいかないが、古代遺跡で見つけた魔力を帯びた業物である!
上位悪魔はダメージを嫌い、翼を二度三度強く羽ばたかせると、10メートルほど上空に滞空し息を吸い込む……
「ブレスだぁぁぁ!距離をとれっ!」
周囲の騎士、傭兵に叫ぶ!
上位悪魔は超高温度の直線状ブレスを左右に放射し、回避に遅れた友軍と魔物を凪払う……
直撃を受けた騎士が盾全面に防御するが、瞬時に盾が、赤色から白色に変わり融解し消し炭と化す…
焦げた匂い…
超高温の熱波で火傷するのがわかる…
「くっ、シア、私が注意を引く!あいつを落とせ!」
ハルが、ありったけ魔力を魔剣に込める!
シアは頷くとスクロールを二本取り出し、一本目に魔力込める!
「我が魔力に応えよ飛行」
ハルが魔剣を腰だめに構える、すでに魔剣から魔力が放出され始めている…
上位悪魔目掛けて、一気に魔剣を切り上げると破壊の魔力が放出される。
上位悪魔は息を吸い込むと超高温のブレスを吐く
超高温のブレスと破壊の魔力がぶつかり、対消滅したあと鼓膜を破るような大爆発音と振動が戦場を駆け抜ける。
上位悪魔より上空に位置取りしたシアは二本目のスクロールに魔力を流す!
「我が魔力に応えよ重力波」
シアは大量の魔力を込める!
上位悪魔の頭上に魔方陣が展開され超圧力が降り注ぐ、上位悪魔はブレスの吐いた後、すぐに防御魔法を展開させるが、防御魔法ごと地面に落とされる。
二枚目のスクロールを使用したことによって飛行が解除され、上位悪魔の真上に自由落下する…
シアは落下と共に魔剣を上位悪魔の背中に串刺しにし、地面まで貫通したのを感触で察し、魔剣に魔力を流す。
「剣の地震」
シアは、岩の隆起をイメージすると、地面の土が硬質化し、上位悪魔の体と翼を貫く。
上位悪魔は大量の血を噴き出しながら、欠けた三ツ又の槍を振り回す、周囲の騎士や傭兵が、好機かと被弾覚悟に剣を突き刺してゆく、やがて上位悪魔の動きが止まる。
上位悪魔の体から高温が発生してゆく……
「「自爆か!?」」
シアとハルの声が被る…
「やらせるかぁぁぁぁっ!」
跳躍しながらハルが上位悪魔の首を一閃する!
着地後、魔剣を構え防地魔法を展開する。
「我が魔力を糧とし守護する要塞を作れ!」
「要塞!」
シアの銀髪が輝きを増す…!
「日緋色金!」
魔力による身体強化をさらに数倍に羽上げる!
上位悪魔の胴体を一足飛びに蹴り飛ばす!
そのタイミングでハルの左右前方に魔法の厚い壁が広範囲展開される!
遠くに蹴り飛ばされた胴体が白色化し爆発する……
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
周囲から歓喜の声があがる
ハルがシアに近付いてき、肩に手を置く…
「終わったな、最初から、それ使えよ狼種最高峰の金属色だろ…」
荒れた戦場に歓喜の声がなりやまずに響いていた。