王都防衛2
城壁から戦場を見渡す……
戦場から聞こえる音が少なくなってきている…
戦況がどちらかに傾きかけているのだ…
騎士団の半壊と傭兵団の一部敗退で、王国側の士気が著しく低下しているのだ……
「不味いな……」
特務隊に所属するハルは1人呟いた…
あの上位悪魔は自分じゃ、無理かもしれないな……
せめてあと、1人特務隊員がいれば…
各地で起こっている魔物の大量発生を調査の為、他の隊員は不在なのだ…
全身に魔力を流し身体強化を行う、城の宝物庫より借りた受けた一振りの魔剣を強く握り、城壁の端まで下がりブーツの爪先を石床で叩き履き具合を直す…
「さてと…」
上位悪魔まで位置をイメージし助走をつけ跳躍する!
最頂点まで到達し、鞘から魔剣を引き抜く!
魔剣から帯び立たしいほどの魔力が放出される……
「いっけえぇぇー!」
落下速度が上乗せされた大上段からの渾身の一撃を放つ!
上位悪魔は周りの取りついていた傭兵達を槍の一振りで凪払い、武器での防御が間に合わない為、防御結界を展開する。
ギィィィィィンッ!
魔剣の一撃と防御結界がぶつかり、魔力の光が辺りにほとばしる!
ビシッ
ビキッ
パァァァァァァン!
防御結界が粉々に砕け割れ結晶となり消滅する。
防御結界を破り勢いが衰えないまま、押し切る!
カーン!
防御結界で時間を稼いだ上位悪魔が三ツ又の槍で受け止める!
「こぉのぉぉぉ!」
魔剣に魔力を流す……
魔剣の光が更に強さを増す!
「退魔!」
魔剣の力が発動し、三ツ又の刃先ごと上位悪魔の腕を切断し勢い転げながら着地する!
切り飛ばされた上位悪魔の腕が、欠けた刃先ごと地面に刺さる。
転げ着地したハルの横を、加速した誰かが瞬きする速度で通りすぎる…
上位悪魔の胴体を駆け抜けるタイミングで真一文字に切り抜き、振り替える。
そこにはハルの見知った顔があった。