街道
そろそろ辺りも暗くなり始め、少しずつ気温も下がって肌寒さを感じさせる。
街道沿いの脇に転がる幾つか岩の1つに腰掛け、水袋から一口の水を飲む、喉を潤し少し落ち着ついたあと、体の感じを確認する、さっきの戦闘で、軽い切り傷や魔物の体当たりを貰ったが、異常は無さそうだな…
腕を回し軽い伸びをしていると、街道から幌馬車が近づいてくる。
御者をしていた行商人は酷く疲れた顔をで疲労困憊のようだ。
「おーい、大丈夫だったか?」
シアは、馬車を街道脇の外れた草地に止める、行商人に近付いていき声をかける。
「いやぁ、なんとか大丈夫でしょうか、あの子達がいなかったら…駄目だったかもしれませんねぇ、それよりあの子達を見てくれますか?かなり消耗してるみたいですよ」
「そうかわかった、これは礼だっ」
シアは金貨を商人に指で弾くと、幌付の荷台を見に行く…
オニキスとウルマが、疲れた表情で寝息を立てる、近くに転がっていた回復薬の瓶と汚れを拭き取ってくれた布が目についた……
「もう1枚金貨渡さないとな…」
おそらく行商人が世話してくれたのだろう…
オニキスの怪我の具合とウルマの消耗の具合を確認すると、行商人の元に戻る。
「世話のなったな」
馬に、水と飼い葉をあたえる行商人に話かけ、金貨を手渡しで渡す。
「お互い様ですよ、こっも助かりましたからね」
金貨をポケットにしまい行商人が言う。
夜営の準備をしながら話す。
「王都までは、あと1日くらいか?」
「そうですね、何もなければ夕方前には、着けるかと思いますよ」
積み荷を、確認しながら行商人が応える。
「そうか…」
日は完全に沈み、月明かりが夜空を照していた。