回収依頼
戦闘で荒れたは空間は半径にして30メートルくらいだろうか…
魔白虎の遺骸が血を流しながら打ち捨てられている……
「うっーさぶっ、やっと終わったわね!」
上空1キロの場所で自らの羽を羽ばたかせ滞空していた、ネムは一人呟いた…
黒い蝙蝠のような羽は一部の魔人が有している証である。
「さて!お仕事を始めましょうか!」
空から地面に、ふわりと着地したネムは、ネコのような使い魔に指示をだす。
「周囲の警戒たのむねー」
ポーチをがさごそしながら、ネムが使い魔に話す。
「はぁー、なんで、あたしなわけ」
クリスタルプレートで出来た手に収まる魔導端末を左手の親指で操作し、仕事内容を確認する。
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【依頼内容】
○魔白虎の回収
○出来る限りよい状態で
○殺菌処理を行うこと
○表面に魔力コートを施すこと
○温度マイナス3度を維持
○収納は魔王国中収納スクロールを使用
○納品は、依頼発生より3日以内
○期限厳守!
〔 依頼主 シーサン 〕
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魔導端末の画面を確認し……
ため息………
「はぁー、条件多すぎるーもぉー」
ポーチをがさごそし、度数の高いお酒を出す、飲むじゃないからね…
使い魔に言う。
「にゃー」
手にした酒瓶を逆さにし、とぽとぽと空中に溢す…
「風の精霊よ霧となりて、対象を包み込め!」
空中で停止したお酒が霧になり、魔白虎が包まれる。
「アルコール消毒終了ー!」
よし!
「んー!そりゃ!」
ネムの両手に魔方陣が展開し、魔白虎に魔力を流す。
「ふぅー!コーティング、オッケー!」
額から出る汗を服の袖で拭き取る…
ポーチをがさごそし、2本のスクロールを取り出し、1枚を地面に広げる。
「召喚!氷の女王!その視線で全てを凍らせよ!」
キンッ!
魔白虎がみるみる凍っていく!
「うっ!さぶっ!」
氷の女王は役目を終えかき消えてゆく…
もう一本のスクロールを魔白虎に向け魔力を流す!
「収納!」
魔白虎が、スクロールに吸い込まれる…
「ふぅー!お仕事、終了っー!」
軽く伸びをし、あくびをする
「ふわぁ~ねむっ…じゃ、帰ろっか!」
使い魔の脇に両手をいれ持ち上げる!
「にゃー」
使い魔が嬉しそうに鳴いて応える…
既に辺りは、夕暮れになり、
一人と一匹の長い影がだんだん小さくなっていった…………