決戦9
人類の果てしない到達点…
世界が…どこまで進歩すれば…すべての人間は幸せになれるのか…
民主主義…独裁主義…優れた治世ならどちらでも良い…
あなたに…この世界は優しいですか…
あなたは…この世界に優しいですか…
優しい世界を願って…
保全衛星0~12の再起動を確認しました…
・
状況確認…
身体損耗76%
左翼…左前脚…両後脚…復元
裂傷背面部異物侵入…
緊急排除開始…
・
今まで動く気配が無かった背面部の裂傷が少しずつ動き出す…
「確認するぞ、突入孔の防衛にユアンナとモルス…内部進行時における露払いと道作りに、
あたしとプラム、心臓への攻撃をオニキスとウルマ、状況に応じてプラムが加わる、以上だ!」
シャミィがユアンナからバックパックを回収するとフック付きロープを取り出し突入孔に設置する。
「みんな気を付けてね、早く終わらしてみんなで帰ろうっ!」
ユアンナが明るく話すと全員が頷く。
「オニキス、足滑らせるなよ…」
「大丈夫だよモルちゃん」
「急ぐぞ、こいつ!動き始めているぞ…」
破壊の魔獣より分離した寄生虫のお陰でそれなりに空間が存在している、まるでダンジョンの中のようだ…
細胞で出来た肉の壁より小さな虫がが現れる…
「オニキス、灯りを頼む」
オニキスがたいまつの灯り照らすと壁に幾つもの穴が開いている、シャミィが直ぐ様切り捨てると、さらに壁より虫が出現してくる…
オニキスが魔法の短剣を壁に刺すと魔力を込める。
「我が魔力に応えよ氷の壁…少しは時間かせげるはずだ」
身体内部を進むと徐々に鉄分の匂いが強くなる、内部を流れる血液…
生暖かい温度…
全員が布で顔を覆いながら進む…
途中、行き止まりに遭遇する。大きく脈打つ部分は心臓と繋がっている部分かも知れない…
普通に切り裂くには時間が掛かる…
強力な魔法障壁が働いてるのだ…
「オニキスの能力が速いか…」
胎動する壁にオニキスが魔剣を突き刺すと魔力を流す。
「今ですっ!」
オニキスが掛け声を上げるとシャミィとプラムが壁を破壊する…
細胞の壁を破壊し更に内部に入ると眼前上に5メートル以上はある心臓が出現する…
力強く脈打つ心臓は息をのむ迫力だ…
強いプレッシャーを全員が感じると心臓を挟み一人の女性が浮遊している…
「……………!?」
「よく、ここまでたどり着いた…」
翠色の瞳に翠色の髪…
「ここで、止められるかはお前達しだい…この星の運命はまさに今ここにある…」
あのダンジョンで話した謎の女性…
「まずは資格が有るのか試させてもらうぞ…」
翠が両手を前に翳すと強い力で押さえつけられるような感覚に陥る…
「ここは絶対退けないところだ…!」
オニキスが魔剣を鞘から引き抜き空間に一振りし、翠の強い力に対抗する…
音も無い心臓の鼓動がまるで、脈打つ溶岩のようであった…