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黒い兎の冒険譚 勇者の存在しない…この世界で…  作者: 黒うさモフル
第四章 決戦
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決戦3

破壊の魔獣に小さな一条の光りが二度降り注ぐと破壊の魔獣がズシンっと音を立て体勢が崩れる…


状況が不明だが事態が好転したことに変わり無い、兵士達の中には歓声を上げ効果の薄い攻撃を試みるが無情にも破壊の魔獣に取りつく前に潰されてしまう…



フルへルムのバイザーを上げ視界を広くし上空を見上げるとファビウスが呟く…

「誰の攻撃だ…」


白い竜がグルルゥと鳴き声を上げる。


「お前も気になるのか…」


ファビウスが白い竜の首を撫でるとキュゥと鳴き声をあげる。


巧みに手綱を操り、破壊の魔獣の頭に近づくと神剣を振るい斬撃を飛ばすが破壊の魔獣の障壁に遮られる…


「直接…斬らんといけないか…」


ファビウスですら攻めあぐねいている…


普通に剣士と破壊の魔獣との相性が悪いと言える。











「………………いやな気配だ…」



戦場の空に大きな翼を羽ばたかせ、確認できるだけで8匹程の竜が舞い降りてくる…


中には鱗が紅く、北の門を襲撃してきた竜も混ざっている。


「やばいな…」


後ろでも確認出来たようで艦船からの艦砲射撃が入る…



「地上の部隊に応戦できる奴はいるのか…」



竜騎士達が新しく出現した驚異に反応し応戦しはじめてゆく、最上位個体相手にどこ迄戦えるか分からないが任せるしかない…


そのうち魔女か賢者が状況を打破するために動くはずだろう…



ファビウスの横に紅い竜が寄せてくると、白い竜に体当たりを行ってくる…


「くっ、こいつっ!」


破壊の魔獣から距離を取ると手綱を絞り竜を反転さし迎撃体勢にはいる。


ファビウスの持つ神剣は広刃の長剣(バスタードソード)で全長1300㎜だが羽ばたく竜の背で使うには勝手が良くない…斬撃を飛ばすか、魔力を流し刀身部分の長さを魔力で補うかだ…


破壊の魔獣に撃墜された竜騎士の竜槍(ドラゴンランス)が地上に突き刺さっているのを発見したファビウスは騎乗する白い竜に話しかける…


「あの、槍に向かって地上10メートルを背面飛行だ、抜け様に抜き去る…俺を落とすなよっ!」


紅い竜に数十合の斬撃を放ち、紅い竜が一瞬翼をたたみ防御姿勢に入ると、ファビウスが白い竜の首を軽く叩く…



「いけっ!」



白い竜が翼を羽ばたかせると全身に魔力を灯す…

今迄に無い速度で滑空していき地上距離15メートル、槍との距離10メートルでくるりと回転すると背面状態になる…


「うおっ!」


フルへルムの中でファビウスが小さく悲鳴を上げると意識を槍の柄に集中し精一杯腕を伸ばし強く掴む、グローブ越しに掴んだ柄を力強く引き抜くと抉れた地面から土と石が舞い上がる…


白い竜が体勢を戻し急上昇すると直線上にいる緑色の竜、目掛けてファビウスが竜槍(ドラゴンランス)を突き出し翼を貫く…


地上に激突した竜が砂煙を上げると地上の兵士達が殺到していく。



「弱い個体か………!?」



背後から熱量を感じると左旋回し炎のブレスを回避する…


紅い竜がファビウスの後ろから猛追し高熱のブレスを放出すると同じく左旋回し更にブレスを放出する。


「しつこいっ!」


白い竜の上に立ち上がり後方を振り返るとファビウスが竜槍(ドラゴンランス)を手に跳躍し高熱のブレスの中を突き破る。



「墜ちろっー!」



渾身の一撃を紅い竜が急いで首を反らし回避するが首の一部を突き飛ばす、そのまま背中に着地すると両手で槍を背中に突き刺す…


悲鳴のような咆哮をあげると紅い竜が竜人化しファビウスを睨み付け落下していく…


いきなり足場を無くしたファビウスも落下していくが指笛を高く吹き鳴らすと白い竜が目下に確認出来た…



白い竜がファビウスを背に拾うと墜ちて行く竜人を見下ろす…



竜人の周りに魔方陣が展開すると竜人が消えて行く…



「破壊の魔獣に戻るぞ…」



ファビウスが白い竜の首を撫でると手綱を操り、破壊の魔獣に向かう…




戦局の硬直を破るにはまだ一手足りない状況であった…

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