旅の終わりはハッピーエンド
R01.11.12 大幅修正
「…いやぁ…こんな山奥にあったのですね河童村」
(ハァハァ…往復はさすがにきつかった…ブラックすぎる…辞めたい)
おでんフェスタ終了後、フルーツ提供のお礼をと、河童村に訪れた一行。
何故か静岡おでんギルドのギルド長=田武好過もやって来た、おでん忍者の後継人…おでんブラックが付けて来ていた様だ…やりおる!おでん忍者が責任を感じて塞ぎ込んだが気にするな、誰も気づかなかったんだ…みんなで謝ろう。え?いいの?貴方村長?さすが河童村長器がデカい!(ペチン
「は…初めまして河童長老様!私、波島流々と申します!…知月さんと肛情お兄さんには大変お世話に!」
「ホッホッホッ 知月に聞いておる、なかなかしっかりした娘さんじゃ」
「///////」
…ん?なんかお嬢のテンションがおかしい。なんだ…私の知らない顔をしている。
そんなこんなで挨拶をして、 蘭乱はお礼にと鍋を振るった!
材料は街で買った米と、道中で倒した猪だ!蛇も捕まえたがこれは唐揚げだな。
グツグツグツ
河童長老と田武が鍋をつつく、蘭乱の腕に感動して…何か思いついて食材を足した。
…その具材が何かを知ってるおでん忍者はそっと目を反らし遠くを見た。精神病院に入ったという、尻子玉を抜かれた者たちの今を思う。
「…ほぅ、これは美味しいですね」
「人間のくせに解るのかい!さすがお偉いさんだ!」
「もちもちしていて、少し癖があるがそれが堪らない…是非とも街でも売り出したいです」
「カッハッハ!生憎それは門外不出の河童グルメ、人間に教える事はできませぬな」
「む~残念」
「本当に美味しい…どうです忍者先輩も?」
「あー拙者は料理を手伝うでござる!」
おでん忍者は全力で逃げる、人間性は捨てたくはない…
勿論異文化を否定はしない…すまぬ後輩、おでんブラック…
◆ ◇ ◆ ◇
主二人は宴会上から少し離れた河原にいた、道中見つけた大蛇の下処理中、内臓をとり、塩で揉まれた長さ20メートルの巨大な蛇、胴の太さは木の幹ほどだ…今からバラシて焼くらしい…10代半ばの少女二人が一体どんな料理をするのかと村の河童衆が見学している。
「よし、下処理完了…行くぜ嬢ちゃん!」
巨大な蛇の首根っこを蘭乱は掴んで踏ん張った。ズズ…ブォン…っと振り回し、勢いをつけて宙へ浮かせる…ブォン…ブォン…ダンッ!大地にめり込むほど力を込めて、踏み込む足と振り抜ける腕…蛇の巨体が空に舞う!
「よーし!っホィ!」
大岩の上で待機していた流々はふわりと飛んだ、風に乗るように軽やかにだ。体をぐるりと捻らせて…旋風よろしく腕を振りぬく…振りぬいた腕が胴をすり抜け…風の軽さで蛇を撫でる。
スパパパパ!
指先揃えて作った手刀でもって巨大な蛇はバラバラだ!用意された皿に肉が落ち…続いて少女がふわりと着地!
「うぉおおお!人間って化け物なんだな!」
そう言った河童は真っ赤に燃える3つの瞳をぱちくり、二つに割れた舌を震わせ驚いている。
「いや違うぞガキども、あの二人がおかしいんだぜ?」
そう言った河童は腰に刀を差した緑の侍
「ホッホッホ…昔は妖怪退治の武闘家がよくこの村にも来た者よ、お嬢ちゃんたちは退治屋じゃろ?」
酒樽にストローをさしてるおじいちゃん河童が笑っている。
「いえいえ、南の島の王家の末裔ですわ」
「そうだぜ、ただのしがない料理人兼格闘家だ」
わいわい
ガヤヤヤ
二人は河童達に溶け込んでいた、いやいや…蘭乱殿の怪力と流々様の「竜宮拳」の鋭さは何回見ても凄まじい…そして二人のお人柄だ。…この後振るわれる料理の腕で更に注目を集めるだろう。
むむ…この後は“串”に刺して焼くのでござるか?むむん…拙者もお手伝いしてドヤ顔したいでござる!
「主殿!拙者も串使いという芸がござる!是非!是非空に投げてほしいでゴザル!」
「おうそうか…ホホホホイ!」
「ひゃっほーーーう!」
ストトトトン
楽しい!多分犬だったら尻尾振ってる。いやもしかして前世は犬かもしれない何この気持ち。……おでん忍者は、改めて二人に忠誠を誓う。
大量の蛇肉は半分焼いて、ちょっと唐揚げにして、残りは燻製にして保存する事となった。
手伝っていると知月が山の中からやってきた、背中に大量のフルーツを背負っている。
「おーやってるな、ほれ嬢ちゃん!取ってきたぜぇ?皆にもアレ作ってくれよ。あんこのな!」
河童村は赤石山脈の奥の奥の隠れ里、冬には雪も降る土地のはずだが、何故だかフルーツは無限にあるようだ。
一部温泉も出るので地熱が高い?活火山は無いはずと思っていたのでござるが…あ、長老との語らいに区切りをつけてギルド長も調理見学にやってきた。
山と積まれたフルーツを見て、なんだか悪い顔で笑っている。
「ククク……これで山梨には負けはしない、静岡フルーツ王国…フフフ」
静岡と山梨の対立の溝は深い…
「あっそうそう…嬢ちゃん、兄貴のイカ墨おでんも作れるか?」
「お、材料があればできるぞ?」
「じゃぁ頼むぜ!村の皆にも食わせたかったが…兄ちゃんいつ戻るかわからんからなぁ」
ドサァ…
知月は大量のタコを甲羅から取り出した。
「山タコって言ってな、このあたりの温泉で獲れるんだ、よし墨とりだすぜ!」
「た…タコ墨じゃねぇーか!」
わいわい
ガヤヤヤ
材料あれば料理が出来る、
料理が出来れば皆で食べれる
皆で食べればわいわいわい
「いや~嬢ちゃん達うめえもんありがとな!」
河童の衆らは大満足だ。
「いえいえ、お兄さんと知月には、大変お世話になってますから」
◆ ◇ ◆ ◇
ジュウゥウ…ポタポタ…ガぶり!
ぷりぷりのタコ肉がひと噛みで弾ける、ほど良い塩と山椒のピリピリが堪らない。
気付けば日は暮れ、夜は更け…まもなく日の出の時間だろう、楽しい時間は刹那に過ぎる、まるで泡沫の夢のように。
ごくりと、おでん忍者は覚悟を決めた。
ドキドキドキドキ…高鳴る心音が止まらない。
夢がいつか覚めるように、宴の夜もいづれ明ける……だから、そうだ。
明ける前に言わねばならない……あぁ!「正式採用お願いします」と!
正直、最初は小娘と舐めていた、そうして負けて…恐怖に屈して配下となった。
しかし、一月あまり…おでんギルドとの戦いの為と飼われたに過ぎはしなのだが、その間の何たる幸福!ご飯は美味しく、体も気遣われ優しさを感じた。串芸を披露したいと言えば、その機会も与え遊んでくれる。主二人は互いに思い合い、支え合う姿の尊さと、幼いながらも、旅を続ける覚悟と情熱、河童や敵さえ受け入れる器の大きさ…!
(…ぜ…是が非でも!正式に部下に…やとってもらうでござる!)
あぁ
まもなく夜が明ける。
森の小鳥が囀りを始める
さぁ…言うのだ…おでん忍者よ…否 元=おでん忍者 田楽忍よ!
夜が明ける前に…この夢が…終わる前に!
「じ…実は拙者」
「知月さん好きです結婚してくださぃぃいいいいいいい!」
……
…………
…………………(クルッポー
※夜明け
「「「えええええええええええええええええええええええええええええええ!?」」」
「この村に来る途中の…大ムカデから守ってくれた姿が!今でも…今でも瞼の裏に焼き付いてて!」
…うん、確かに主は虫が苦手だ道中に出た巨大ムカデ(15メートル級)にはちびっていた。うん、わしもちびった。それを一撃で沈めたムキムキ河童の知月に惚れるのは解る。うん…え?
「是非!沖縄に!滅びたといえ琉球血筋…波島家に来て下さい!も…もしも駄目なら私がここにぃいいいいいい!」
「お…落ち着け、落ち着けお嬢!…だ…誰だ酒飲ませたの!」
「うわぁあああああああああ筋肉かっこいいい!」(筋肉フェチ)
「落ち着けぇええええええええええええええええええええええええええええ!」
……こうして
蘭乱の料理修行の旅路、ふたりの旅は一旦終わった。
目指すは南西 二人の故郷 沖縄県は旧=琉球の波島家
二人のお供は緑の男
山に残るは 河童忍者、君が赤石山脈に迷ったら…彼の名前を呼ぶと良い!
彼の名前は田楽忍!山に迷う者を救う案内人!
「人生で一番大切な瞬間を…拙者は…拙者は逃してしまったのじゃぁ!」
彼はこの日の朝を後悔し、俗世をすてて山伏となったのだ。
しかし相性は河童忍者だ。なんかしっくり来た。
◆ ◇ ◆ ◇
田楽「河童忍者ってなんでござるかぁあああああ!!」
ちなみに歌う河童、覇外甲羅=肛情はその話題性からシンガーソングライターとして成功した。
全国に展開したイカ墨おでんの権利は速攻で売り払い、今は世界を旅している。
そして南の島は大騒動、緑の全裸に父白目。
「まさか…旅の終わりがこんなんだとは…」
なんとも言えない蘭乱であったが、親友の笑顔を見て思い直した。
「旅の終わりが結婚ってのはありか…よし!ウェディングケーキの勉強するか!」
こうして物語は美しく終わる
二人の未来に、みんなの未来に幸多かれ!
E N D
うわああああ!
初めて…はじめて完結おしちゃったよ!
ドキドキ
うわあおわっちゃったぁあ!
感動です。ありがとう河童忍者と、読んでくださった皆様方
文の拙さ
誤字や名称の不統一は、ゆっくり修正を入れていきます。
いやぁ
最後に話
酷いなぁって自分でも思います。
思いますけど。
同時に自分の限界なのです。
結構頭を悩ませて
他の話より色々調べて
書いて消して
あぁ
綺麗にまとめたり
シリアスだとつまらないってなって
結局こんな終わりなのです。
うぅ…河童忍者は犠牲になったのだ
犠牲の犠牲に…
さてもう一点
本作「フルーツおでん伝」は「VSおっぱい拳」とキャラは同じ
時代や設定、立ち位置が違うという作品です。
言ってしまえばパラレルワールド
どちらが正史などはありません…
前後の作品に関係する“確定された出来事”は知月とルンルンの関係ぐらい
長い!
長くなってしまいました!
なろう初めて10日目…はじめての連載完結で本当にドキドキ
今後も投稿をつづけますので、また機会がありましたらお願いします。
キャラクター達と読んでくださった方々に感謝