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小山家の人々  作者: 小山淳志
6/12

スーパーマーケットにて

8時に仕事を終わって家に帰る前に

ビール6本と半額の刺身と半額のてんぷらを買って

ハローズの店から出てきて車のドアを開けようとして

スーパーの袋と財布の入ったバッグを持ったまま

歩きながら上着の右ポケットを探っても

左のポケットを押さえてみても

ズボンのポケットになんとか手を突っ込んでみても

ケータイと万歩計には触るけど

家のカギと職場のカギと車のキーの感触がどこにもないし

体をゆすっても鍵束の音がしないことがわかって

ここ通ったよなと思う所を戻って

店の中に入って3番のレジの近くまで行って

買い物を詰めたステンレス台のところまで行って

もしかしたら財布を出して仕舞った時に

バッグの中に一緒に詰め込んだのかもと思って

ぱんぱんに詰め込んだ黒の小さなバッグのファスナーを開けて

黒の皮財布を取り出して黒いメモ帳も出してその横を見て

黒のメッシュの袋に入ったデジカメとデジビデも出してその下を見て

黒の袋とグレーの袋に入った接続コードや

USBやSDカードやらを出してバッグの底を見て 

それでも見当たらない と思って

バッグを覗き込んでた顔を上げると

2番のレジの隣にある誰も人がいないステンレス台の上に

鍵束だけがポツンと残ったままになっていた


「ああ、こんなところにあったんだあ」と声を上げたら

レジを終えていつの間にか隣に来てた

背の低い白髪を少しだけ紫に染めた

背筋のしゃんとしたおばあちゃんに

「若いのに―」と大声で一言言われて

なにも言いたくなかったんだけど

「すいませーん」ムニャムニャムニャッと言って

急いで駐車場へ戻った


何年も前の経験になるのだけど、当時

認知症の始まりかと思った。

今はもっとひどくなってるような気がするので

あながち・・・。

恐ろしや。

クワバラクワバラ。


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