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小山家の人々  作者: 小山淳志
11/12

ハレルヤ

バラード

今までの作品への。

ハレルヤ


へい太は脳腫瘍 度々発作を起こし

飼い主を見ても また会ったねという体で

家の外に出ては 畑の中をぐるぐる

ペットショップの段ボールの中

兄弟の犬に押しやられ縮こまっていたのを

家に連れて帰ったんだよ

へい太 ありがとう 褒め讃えよ ハレルヤ


おばあちゃんは 百五歳まで生きた

納戸にあった介護ベッドの中 手を握りながら

正気なおばあちゃんから最後に聞いたのは

幼稚園の遠足で 姫路まで僕を連れて行った五十年も前の記憶

その何年も前に聞いていたよ

じゅんちゃん もう わたしゃあ へこたれそうじゃ

おばあちゃん ありがとう 褒め讃えよ ハレルヤ


父が遺したのは 手入れできなくなった畑と田んぼに倉庫一杯のガラクタ

足腰立たなくなるまで 好きなことを好きなようにやり続けた八十五年

施設で心臓が止まるまで 葉書に短歌を書き連ねていた

父のプレゼントに ありがとう 褒め讃えよ ハレルヤ


ゆいちゃんが遺したのは 遠足の時に見せた

友達と一緒にすべり台を降りてくる満面の笑み

共に楽器を奏で 共に歌い 創り出すハーモニー

みんな聞いてくれよ 届いてくれよ 君の耳元まで

ゆいちゃんに祝福を 感謝を 祈りを ハレルヤ


居場所さえあればいい 病気になっても 閉じ込められても

心に住み続け 新たな思いに気付く 

みんなに ありがとう 褒め称えよ ハレルヤ


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