二人だからこそ遠くをみつめて。
「ねぇ、私がした告白の言葉。おぼえてる?」
あまりにも突飛な質問に僕は戸惑う。
「『あと50年は愛してる』だろ?」
「そ。」
はたから聞けば微妙にひどい言葉にも聞こえる。
それに、あまりにも自分勝手だ。
悪く言えば、「50年したら捨てる」と同じ。
でも、それが僕にはいいように聞こえた。
だって、20才こえての告白で50年後って言ったら70才。
それまでに離婚しちゃう人も大勢いるわけだ。
そのなかで50年間いっしょにいればいい方だと思わないか?
なによりこの言葉のおかげでこうして二人。ひとつの部屋で
いっしょに夜空を見上げている。
なんて言ったらいいかは分からないけど、
とにかく僕は50年でも100年でもずっと君を愛してる。
だけど勇気のない僕は声に出さずに空に託すよ。
君みたいに声に出すことはできないけれど。
遠くを見てれば見えてくるものがあるから。
分かるものがきっとあるから。
二人だからこそ言えることがある。
でも、二人だからこそ言えないこともある。
ねぇ、二人だからこそ遠くをみつめて。
僕の思いが君に届くように。
「ずっといっしょにいよう」って。
『ねぇ、あのさ。好きって言って?』
-END-
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