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サンタクロースパイ  作者: COLK
54/64

54.人生を救うプレゼント

霧河にとって、休日という事になっている

元日に、クリスマスが終わって数日経った後だが、クリスマスに

着ているサンタクロースの服を着て、その家に、いつもの

〝ピッキング〟で侵入する事にした。



それから、時間が経ち・・・・・・



2011年1月1日(土)。年が明けたその日の深夜、霧河は、

その家にやって来た。



「う~ん・・・深夜とはいえ、元日だし、

相手は大の大人だ。起きてなきゃ良いけど」



〝ガチャ〟



入ってみると・・・・・・



「おっ!良かった!!大丈夫だな!!」



リビングには誰もおらず、至って静かだった。なので、そこで、

その夫婦が寝ている事が分かった。寝室へ向かい、枕元に、

あるプレゼントを置いた。そして、帰った。今回も、

ちゃんとヘマをせず、相手を起こさず、プレゼントを置き、

その家を出た。



「フ~ッ!!コレで、あの夫婦、幸せになれると良いな!!」と

言って去った。



翌朝、その夫婦の二人が枕元を見てみると、

とても大きな箱があった。



「ん?何だコレ?」



箱を開けてみると、その中には、

「読者の才能を発掘するための本」が3冊、

「社会心理学マニュアル」が4冊

「事業をする起業マニュアル」が5冊、

「接客の心理学マニュアル」が3冊、

計15冊の本、そして、「1000万円のお金が入っているケース」と、

「手のひらサイズほどの招き猫の置き物」と、

「手紙」が入っている。



手紙を読んでみると、

「〝拝啓、名前も知らないあなた〟、

おはようございます。そして、あけましておめでとうございます。私は、普段、イタリアに住んでいますが、何度も日本に

やって来た事があり、日本が大好きになり、日本の文化や日本語を勉強し、日本語を自由に話せるようになったサンタクロースです。イタリアのサンタクロースは、毎年、冬、

年末から1月6日まで活動しています。今、

これらのプレゼントを手に取り、この手紙を読んでいるあなたは、きっと、仕事やお金の事で、さぞ悩んでいるでしょう。ですが、

この1000万円と、色々なマニュアルと、招き猫があれば大丈夫。招き猫は神社にいる猫であり、キリスト教の猫ではありませんが、

私は、どの宗教も否定しないし、招き猫は、とても可愛いと

思っています。このとても可愛い招き猫をリビングかどこかに

置いて、色々なマニュアルを読んで、1000万円を利用して、

何か自分に合う仕事を始めて、

毎日、招き猫に生活を支えてもらいながら、癒されながら、

励まされながら、人生を頑張ってください。

これらは、私からのクリスマスプレゼントであり、お年玉です。

〝サンタクロースより〟」と、書いてある。

パソコンで書いてあるが。



すると、その夫婦の夫が

「何だこりゃ?めちゃくちゃ変な話だな。サンタクロースがもし、本当にいたとしても、普通、サンタクロースがこんな事、

するか・・・?しかも、この手紙、どう見ても、

パソコンで書いてあるだろ?けど、イタズラだとしたら、

こんなに色々置いてあるのはおかしいな~。お札も、

ちゃんと透かしがあるから、ニセ札じゃなさそうだし」と言った。



だが、隣にいた妻は、

「そうね~・・・でも、良いじゃない!!

良く分かんないし、怪しいお金とプレゼントだけど、もう、

私達には、全然余裕がないんだから!!!」と言う。



「う~ん・・・それもそうだな。藁にもすがる思いで、乗っかってみるか」

「うん!!ていうか、こんなの、藁どころじゃないぐらい頼もしいわよ!!!」

「そうかもな!!!」



「ねぇ、私達、つい昨日まで、明日からどう生きていけば良いかすら分かんなかったけど、元日の今日、こんなに良い事があったから、とっても良い1年になりそうね!!!」

「・・・そ・・・それは・・・どうか分からないけど・・・・・・」



そう、霧河は、実は、株や他の会社達に関する知識も豊富で、

株取引が上手く、普段は、全く使わないだけで、株取引で、

何千万円もの大金をしょっちゅう儲けている。



しかし、あまり、

自分が大金持ちだという事や、株取引が得意だという事を

たくさんの人達に知られてしまったら、大変な事になるので、

それは、全く他人に話さない。



しかし、そうやって、

株によって稼いだ、とても大きな財産を、あの夫婦に渡したのだ。霧河があの手紙に書いた、「差出人が元々は、イタリアにいて、

日本の文化や日本語を勉強した」というのは、もちろん嘘だが、

〝イタリアのサンタクロースが毎年、1月6日まで活動している〟というのは、実際に、イタリアで伝えられている説だ。



霧河は、少しでも、〝プレゼントはサンタクロースが渡している〟と、信じてもらうために、その説を利用したのだ。

もし、ネットで検索されても、

(これは本当にサンタさんがやってるんだ)と思ってもらうために。

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