表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/28

2 救いの天使


 きりきりきりきり・・・


 歓喜ーのように聞こえるー声を上げながら鎌を振り上げる。


バグは人を殺すことだけが目的で、食べることはしないのだという。食物連鎖にすら逆らっている。


「いや、たすけて、たすけて、ウイルナ様!ウイルナ・デ」


 少女の言葉の後半は、祈りの言葉だった。今の状況では呪詛に近い。


 彼女の村の祈りの言葉だった。


 今は失われた神に祈る言葉。


 それに意味があるかはわからない。


 だが、彼女の言葉は天使ではない何かを呼び出した。




 大木の向こうのバグが小さく鳴いた。少女からは見えなかったが、もろもろと水に入れた泥人形のように崩れ去る。


 そこから先は、少女にとってスローモーションだった。


 振り下ろされる鎌


 何かがかすめてその鎌を吹き飛ばす。


 切り落とす。



 そこで少女はやっと、自分を助けているそれが人の姿をしていることを知った。


 髪の毛は腰までの白銀、ローブも白く、ローブから見える革のパンツだけが黒い。



 少女に一瞥を落とす、その瞳は「失われた」空色だった。



「天使さま・・・」



 少女のつぶやきを聞いてか聞かずか、彼は魔術を駆使してもう一段飛んで、バグの首を落とした。バグは白い灰になって消えた。


「・・・俺は天使種族じゃない。スカイ。王宮魔術師の一人だ。君は?」


 少女はーー答えることができなかった。少女の視界は、安堵のためか白くなっていたからだ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ