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猫の夜
その夜、宇喜多屋敷で俺とバカ猫で居ると、
「エリンギ」
「何だ?」
「八郎のいとこを殺したのって、エリンギか?」
「そうだ」
「あっさり言うな」
「俺を殺すのか?」
「殺さねえよ。エリンギ、猫じゃん。猫の力じゃムリだって」
「南蛮かぶれは不思議な力と言っていたぞ。それで可能じゃないのか?」
「喋れるってだけだろ。それだけじゃ、猫じゃムリだろ」
「……」
まだ、あいつは俺の超能力を知らないから、のんきなものだ。
まあ、その方が都合はいいからな。
「エリンギ、もう寝よう」
「ああ」
俺の定位置である座布団の上で寝たが、
「……」
「んにゃんにゃ……」
もう寝たか。猫より寝付きがいいな。
「……」
今日は煙草を吸うよりも、
「横で寝るぞ」
バカ猫の横で寝た。が、
「んにゃんにゃ……」
「ふにゃ!」
「んにゃんにゃ……」
「ふぎゃあ!」
この日に限って、寝相が悪く殴られてしまった。
「バカ猫め!」
猫パンチをして、煙草を吸う事にした。