06話 2ヶ月経過
謎のドラゴン……便宜上マザードラゴンと呼称します……より卵を三つ預かり、それを孵化させてから約二ヶ月が経過しました。
紆余苦節……文字通り色々ありましたが、長いので端折らせていただきます。
……そこ、すっ飛ばし過ぎとか突っ込まない。
お母様、貴方の子達はすくすくと元気に育っています。
どのくらい元気かと言うと……
「ガアァァァァッ!!」
「キュイィィィッ!!」
「グオォォォォッ!!」
ビッグファングボア。
転移初日に俺達を追い掛け回した巨大な牙と図体のイノシシだ。
それを逆に追い回し、ソロネの水流によって捕縛し、セラフェイムの鎌鼬によって切り刻まれ、ケルヴィンの火球によってこんがりと焼かれるというコンボによって仕留められていた。
『おっし、よくやったよくやった! この森の主も仕留めたし、この付近じゃもう敵はないみたいだな』
その様子を空から見ていた俺は、すいーっと地面に降り立ち、すっかり大きくなった三竜の頭を撫でてやる。
「がおっ」「きゅいっ」「ぐうっ」
それぞれ敵を追い詰める時のような声では無く、愛らしい声で応えてくれる。
うーん。やっぱりでかくなっても可愛いな。
二ヶ月の間にこいつらも進化し、今では立派な小竜となっていた。
大きさは、大体人と大して変わらないサイズ。2メートルちょいといった所。
いざ公開! うちの子達の現在のステータスだ!
名称:ケルヴィン
性別:♂
種族:竜族
リトルファイヤードラゴン
HP:1000/1000
MP:80/100
筋力:C
魔力:D+
耐久:D++
敏捷:D
ケルヴィンは正に正統派ドラゴンといった出で立ちで、実に格好良い見た目に育った。俺の言った通り長兄としてしっかりと先頭を立って歩き、他の二竜を守っている。
名称:セラフェイム
性別:♀
種族:竜族
リトルエアロドラゴン
HP:700/700
MP:100/120
筋力:E++
魔力:C-
耐久:E+
敏捷:C-
セラフェイムは全身が真っ白い羽毛に包まれており、まるで天使の如き神々しい雰囲気に包まれている。こちらもお姉さんとして立派に育ち、しっかり者で他の二竜を支えている。
ドラゴンの美形の基準は分からないが、俺から見るとかなりの美人さんとなりました。
名称:ソロネ
性別:♂
種族:竜族
リトルシードラゴン
HP:800/800
MP:90/100
筋力:D
魔力:D++
耐久:D
敏捷:D+
ソロネはまだまだ甘えん坊の怖がりだが、時折勇気を見せる事もある。東洋龍タイプという事で飛行の仕方が二竜と違うのか、一時は空の飛び方が分からずに落ち込んだ事もあった。それでも今は立派に空を飛ぶ事が出来る。
うん、こうしてみると三竜とも本当に立派になったもんだ。
ちなみに強さの基準が分からないという人の為に、今倒したビッグファングボアのステータスを公開。
それがこちら。
名称:???
性別:♂
種族:ビッグファングボア
HP:1000/1000
MP:30/30
筋力:D
魔力:G+
耐久:D+
敏捷:F
これが、ここいらの主レベルの魔獣のステータス。
そして、倒すのに苦労を要しない……赤ん坊のドラ子達でも簡単に倒せた魔獣のステータスがこちら。
名称:???
性別:♂
種族:キラーバグ
HP:100/100
MP:5/5
筋力:F-
魔力:G
耐久:G
敏捷:E-
要は、でっかい羽虫である。
これが大体標準かなーというレベル。
どうも、Gというのが最底辺のステータスらしい。今の所、これ以下という数値は確認できていないので、そうじゃないかという認識だ。
ゲームで例えれば、レベル1の初心者でも一、二回攻撃を加えれば倒せるようなタイプ。
ついでに言うと、俺も色々と出来るようになりました。
遂に公開!
俺のステータス!
名称:レイ
性別:男
種族:???
職業:ドラゴンテイマー
HP:0/0
MP:888888870/888888888
筋力:-
魔力:EX
耐久:-
敏捷:-
どうだ。
色々と突っ込みどころ満載だろう!
まず、名前。
ああ、ひょっとして俺のステータスって確認出来るんじゃね? と思って早速やってみた所、名称の欄は???表記だった。
どうも、これは俺が認識や理解していない部分は???で表示されるらしい。
よって、今の俺自身には分からない名前は表示されない。
まぁ特に今の俺に名前なんか意味は無いんだが、適当にレイと名乗る事にした。幽霊だからレイという安直な名前だ。……名乗るような相手は居ないけどな!!
そして種族。
幽霊だからそのまんま幽霊とか、霊体とか表示されるかと思っていたが意外な事に???のままである。
という事は、今の俺みたいなのはちゃんとした名称があると言う事なんだろうか。
……まぁ、考えても分かんないのでパス!
続いてHPとMP。
HPが0なのは幽霊だから当たり前として、なんだこの天文学的なMPの数値は!?
8億……っていうかほぼ9億っすか!?
もしゲームでも、敵としてでも登場しないだろ。それにしても綺麗に8のゾロ目なのは、何か意味があるのかね? 8を横にしたら∞とかそういう意味合いが……考えても仕方ないな。誰も教えてくれないし。
そして筋力やほかの数値が“-”表記なのに対して、魔力だけEX。普通に考えるなら、規格外って意味だよな。
うちの子達ですらまだCにも達してないのに……。
という事で、わたくし……実は大魔法使いでした。
実は、超チートな魔法使いが死んで、記憶も何もスパっと失ったのが今の俺なんじゃなかろうか。……でも、それにしちゃ頭の中の知識に矛盾があると言うか……。
魔法と言うのは、俺の知識ではフィクションの世界の産物であり、現実には存在しないもんなんだよな。
まぁ、ドラゴンとかが存在する世界でフィクションだのなんだの言っても仕方が無い!
あるものはある!
見たもの、体験した事は素直に認めるとしましょう!
……まぁ、結局は幽霊なんだけどね。
で、幽霊と言う事で、二ヶ月の間にふわふわ空中に浮かぶ等の行為は簡単にできるようになった。
浮かぶだけでは無く、その気になればうちのドラ子達よりも速く飛ぶ事だって出来るぞ!
他に、触れずに物を自在に動かす事が出来るサイコキネシス!
とりあえず、目に見える範囲のものであれば、重さに関係なく浮かせたり、動かしたりする事は可能である。最初は結構な疲労感を覚えていたが、今は特に疲れなくなった。……慣れかな。
続いて、魔力をエネルギーにして撃ち出すマジックガン。
指先を拳銃の銃口に見立ててBANGと撃ち出すアレだ。指、掌、両手と段階を踏んで威力を上げる事が可能。MPを捧げた分だけ威力を高められるので、全MPを捧げたらどんな威力なるのか造像もつかん。
基準にしているのが大体10程度のMP消費で、大きな岩を打ち砕く事が可能。100で森の木々を薙ぎ払う程で、1000で平原にとんでもないクレーターを作り上げた。10000はまだ試していないが、山くらい消せるんじゃないか? 怖くてやってないけど。
まぁ、こんな感じで色々と出来る感じになりました。
肉体さえあれば完全にチートキャラ。……今でもチートキャラかもだが。