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過去の僕へ

作者: 田中らら

雨が降り始めて、


街の色が濃くなっていく。


「濡れたアスファルトの匂いが好き。」


そんな君の言葉を思い出す。


いつもふわふわしていて、掴むことが出来なかった。


君の話は何が本当で、何が嘘なのか、今でもわからない。


僕のことが好きだと言ったキミはなぜあんなに悲しそうな顔をしていたの?



「雨は好きだけど、風はきらい、風の音が怖いから。」


この話をした時の君を今でも覚えている。


君は不思議な人だったけど、


この言葉だけは君の本音だったよね。



大人になった今の僕ならわかるよ。


君は自分の感情を言葉にすることが苦手だったね。


僕のことを好きになってくれてありがとう。


僕に嫌われることが怖くて、


いつも言葉を選んでいたね。


お互い子供だったあの時がなつかしい。


僕も君が大好きだった。


でももうあの頃には戻れない。


今でも君のことを思い出すと、


懐かしさと、切なさで胸が締め付けられます。


あの頃のように恋がしたい。


ただ会いたいとお互いを求める関係。


一緒にいるだけで幸せな気持ちになれる、


そんな恋がまたしたい。


大人になると自由になれると思っていた昔がなつかしい。


大人になるって制限が増えることだと、


昔の僕に教えてあげたい。


その恋が最後の恋だと、


昔の僕に教えてあげたい。


彼女を離さないようにと、


昔の僕に教えてあげたい。


もう後悔はしないように生きてくれと、


昔の僕に伝えたい。


さようなら昔の僕。


これからは雨が降っても君を思い出さないよ。


おわり











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