ランカーの来訪
お店の扉が勢いよく開き一人の大男が入ってきた。
「おーい、お邪魔するぜ!誰もいないのか?」
男は店内中に聞こえる声で話してきた。
拓海と重松は店の奥の部屋にいたので表にでた。
「いらっしゃい!お一人様ですか?」
俺は態度のでかい客だと思って接客したが思いもしなかった返事をされた。
「あー、違う違う。客で来たんじゃない。」
「、、、?」
「俺はコーヒーランキング97位の道林だ。最近ランキング入りしてな、さらに上り詰めるためにこのへんに新しい店をオープンしたんだが売り上げをのばすために評判のいい店が邪魔でな、悪いが店閉めてくれないか?」
へらへらしながら言ってきた言葉に対して俺は少しキレ気味に返した。
「おいおい、むちゃくちゃなこと言ってくれるな。」
「どーせ、俺には勝てないんだ。さっさと辞めてくれないか?」
「あのな、、」
するとそのやりとりを遮るように重松が口を開いた。
「わかったわかった、じゃあこうしよう。明日この拓海とお前さんで勝負してもらおう。わしらが負けたらおとなしく店を閉めよう。そのかわり、、お前が負けたらその順位をよこせ。」
その言葉には少し苛立ちが混ざっていた。
「おいおい、本気で言ってんのか?でもまあそっちの方が話が早い。わかった、じゃあ明日またくるわ!せいぜい首を洗って待ってな。
」
そう言い残しズカズカと帰っていった。
「いきなりなんなんだよあいつは!」
道林が帰った瞬間思わず叫んでしまった。
「そういえば最近ランカーが近くに店をオープンするとは聞いたがまさかあんなやつじゃったとはな。」
「それにしてもじいちゃん!あれどういうことだよ!」
「ん?ああ、勝負のことか?お前の実力なら九十番台のランカーくらいなら勝てるじゃろ。それに、、ランキング入りくらいしないとあの化け物クラスの店で働くなんて無理じゃしな。ちょうどよかったわい。」
重松はなぜかウキウキしている。
「簡単に言ってるけどさ、ランカーってやばいやつばっかりじゃねえのかよ。」
「いや?そんなこともないぞ。確かに上位層は化け物クラスじゃが下層部はランキングの入れ替わりが多くてな、協会にちゃんと実力を示すことができればある程度の奴なら入れる。」
「いやいや、そうは言ってもよー、、。」
俺の不安そうな声で言ったのに対しじいちゃんが口を開いた。
「もう研修は始まっていると思って全力でやって来い!きちんと準備しとかないとさすがのお前でもアッという間に負けるぞ?」
「わ、わかってるよ!やってやろうじゃねーか!」
やっぱじいちゃんはすげえや、俺の不安なんか簡単になくしやがる。
その夜、俺は明日の勝負について作戦を考え、器具の準備をしてベットに横になった。
明日は絶対に勝たなくちゃな。このお店を失ってたまるか。
そう心の中で決意し眠りについた。