『Noval Soleil(ノーヴァルソレイル)』
「ところでよぉ、じいちゃん、あいつ何者なんだよ。」
俺はご機嫌状態の重松に尋ねた。
「実か?あいつはわしの友達の孫でな、若干17歳にしてコーヒー専門店『Premium』の代表取締役を務めておる。」
「プレミアム!?聞いたことあるぜ!ってかあいつ俺より年下かよ!?」
すごすぎてもう何が何だかよく分からなくなってきた。
「十代でランク一桁入りするやつなんてそうそうおらんからな。あいつは別格じゃ。世間からは天才少年なんぞ呼ばれておったかの。
認めたくはないとは思うが世の中にはお前より年下でお前より優れたやつは山のようにおる。」
重松の言葉で己の未熟さがよく分かった。
「俺もまだまだってわけか。それにしてもすげーな、あれが世界の味か。」
「すごいじゃろ?一桁ランカーともなると一日店を閉めるだけでコーヒー業界全体で億単位の金が動くからの。そんな中来てくれたんじゃから。」
「億単位!?まじかよ、、。」
「ああ、じゃからそうやすやすと飲めるもんじゃないぞ。予約すら簡単に取れない状況じゃからな。お前にも早くあんくらいにはなってもらいたいわい。」
俺は少し間をあけて言った。
「俺にあんなコーヒー淹れれるようになるのかな、、。」
「そこでじゃ、研修先で己の技術を高めてこい。」
重松は胸を張って答えた。
「いったら成長できるかな?俺もランカーたちと対等に戦うことができるかな?」
「それを決めるのは自分の努力次第じゃが少なくともここにおるよりは成長するじゃろ。」
「わかった、俺がんばってくるよ。そして一番においしいコーヒーをじいちゃんに飲ませてやる!」
じいちゃんの期待に応えれるように俺は言った。
「楽しみにしとくわい。」
重松は嬉しそうに笑っていた。
「ところで研修先ってどこなんだ?」
「ふっふっふっ、聞いて驚くなよ?お前がお世話になるところは東京渋谷スクランブル交差点横に本店をかまえる年間売り上げランキング二年連続第一位、今、日本一最高と呼ばれておるコーヒー店『Noval Soleil』じゃ。」
「、、、、はぁぁぁぁぁぁぁぁあ??」
一瞬、時が止まったような気がした。
「、、お前、その驚き方好きじゃな。」
「いやいやいやいや、ノーヴァルソレイルってノーソレ?あのノーソレか?」
「さすがにそれくらいは知っおったか。」
「いやいや、知ってるも何も今俺が一番行ってみたいとこなんだけど。一回でいいからそこのコーヒー飲んでみたかったんだよ。」
予想すらしていなかった店名がでて冷静にいられなかった。
「そうかそうか、ならちょうどよかったな。」
「そんなとこで研修とかできんのか?」
「心配するな、そこのオーナーに話はつけてある。」
自信満々の表情で重松は答えた。
「えっ?」
俺は少し黙った後続けて言った。
「、、、なあ、さっきのやつといいノーソレのことといい、じいちゃん何者、、、」
そのとき店の扉が勢いよく開いて大きな音が店内に響いた。