表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コーヒーの王様  作者: 國枝明日香
3/6

格の違い

実は黙って俺の淹れたコーヒーを一口飲み静かにカップを机においた。


その後じいちゃんは二人のコーヒーを飲み比べて言った。


「こりゃ誰が飲んでも一目瞭然じゃな。拓海、それでいいか?」


「、、、、ああ。」


くそっ、認めたくはないが誰が見ても俺の負けだ。


全国にはこんなやつがうようよいるのかよ、、。


とても悔しかったが一つ腑に落ちないことがあった。


「ところで、この豆は何をブレンドしたんだ?味わったことのないような感じだったが。」


「ブレンド?何言ってるの?俺が使ったのはコレだ。」


実がそう言いながら見せてきたのは驚きの物だった。


「インスタント、、コーヒー?」


思わず口に出してしまった。


「正解。」


「ちょっと待て、嘘はやめろよ。そんなんでこの風味がでるはずがない!」


俺は声を荒げてしまった。


「どうしてすぐそう決めつける?このコーヒーが美味しくないと思っているのはお前に技術がないからだ。

どんな豆であれそれにあったお湯の温度、抽出時間、分量をちゃんとすれば美味しいものはいくらでも作れる。たとえ加工されたインスタントコーヒーでさえお前レベルが淹れたコーヒーよりおいしいコーヒーは

できる。」


格の違いを見せつけるかのような言い方だった。


「も、もう一回だ!もう一回勝負すれば、、」


「時間の無駄だ。それにこれ以上はお前に淹れられる豆がかわいそうだ。」


俺のみっともない発言に実は言葉を重ねてきた。


「くそっ、、、、。」


何も言い返すことができない。


これが世界第6位か、、、、まだコーヒーには俺の知らないことがやまほどあるってわけか。


このままぐちぐちしてるわけにもいかねーな。


「じゃあ僕はもう帰りますね。

また僕のコーヒーが飲みたくなったらお店に来てください。まぁ今回のようにインスタントコーヒーではなく、ちゃんとした豆を使ってますんで少々値は張りますけどね。」


実はくるりと背をむけながら言ってきた。


「おお、すまんな、忙しいときに。」


重松は手を振りながら見送った。


「では。」


そう言って佐実は帰っていった。


「じいちゃん、、俺は今まで自分の淹れたコーヒーは最高だって思ってた。けどそれが間違ってたって思い知らされたよ。

俺、研修行ってくるよ。もっと世界のコーヒーを知ってみたい。」


「良い目だ。行ってもまれて来い!」


重松は驚きながらも真剣に言ってくれた。


こうして俺の世界への挑戦が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ