世界の広さ
俺は突然のランカーの登場に驚きを隠せない。
「ってかなんでそんな人とじいちゃんが知り合いなんだよ!?」
「まあ、昔の縁でちょっとな。そんなことより今日来てもらったのは2人に勝負してもらおうと思ってな。」
は??訳も分からないまま話はすすんでいく。
「はぁ、、、やっぱりそんなことですか。」
実はわかっていたような口ぶりだ。
「拓海には世界の広さを知ってもらおうと思ってな。負けた時にはおとなしく研修に行ってもらうぞ。ルールは簡単、この店のものは何を使っても構わん。ただコーヒーを入れてくれ。」
「おいおい、勝手に話を進めんなよ。」
俺には何が何だかわからなかった。
「わかった、じゃあこうしよう。お前が勝てばこの店をやろう。」
重松は自信満々に拓海に言った。
「しょ、しょーがねーなー。そこまで言うなら勝負くらいやってやらんでもない。」
「わかりやすい奴め。」と重松は笑った。
「ただコーヒーを淹れればいいんだな?」
俺はじいちゃんに確認した。
「まったく、今回だけですよ、、、。」
実はしぶしぶながら協力してくれるみたいだ。
「では、初めてくれ。」
実はさっそくだるそうにヤカンに水を入れお湯を沸かし始める。
研修なんて行ってたまるか!そんな時間あるならお客さんにコーヒー入れてるほうが面白いわ!それにこの店をもらえるなんて願ったりかなったりだ。
ランカーだろうがだれだろうが自慢の一杯で黙らせてやるぜ!
俺は店にある豆をいくつか手に取りブレンドした。
豆を惹きペーパーフィルターを使ってハンドドリップしていく。
10分後ーー
「よし、2人ともできたようじゃな。わしが審査員だとアレなんでな、今回はお互いのコーヒーを飲んでもらおう。」
「それどうやって勝ち負け決めんだよ。」
俺の言葉にじいちゃんが返してきた。
「まぁ飲めばわかる。」
ったく、、、、コーヒーランカーだかなんだか知らないがただのドリップコーヒーでそんな味が変わるわけないだろ。
俺は実が淹れたコーヒーを手に取る。
この色は、、、あまり見たことがないな。
こんな豆うちの店にあったか?一体何をブレンドした?
一見同じ色に見えるコーヒーでも慣れた人からしたら全然違って見える。
俺は手始めに香りを嗅いだ。
!!??
なんだこの香りは!?
香りが俺の体をまるめこむ。
まだ飲んですらないのに全身がコーヒーにつつまれたようだ。
俺は少し冷や汗をかいた。
いったん落ち着いてから一口飲んでみる。
ズズズっ。
とてつもない衝撃が口いっぱいに広がった。
なんだよこの味は、今までには飲んだことない風味だ。
この店のコーヒーだけでこんな味がだせるのか?
俺には無理だ、、、、俺は一口だけで実力の差を知った。
この後さらに世界の実力を知らされるとは思ってもいなかった。