辻橋女子高等学校24 ― おっぱいの北半球と南半球、どちらが見えた方が嬉しいのか
まるで俺のために着用して温めておいたみたいな言い方ですな。
というか、やっぱりその生パンツというのはもう概念としてあるのな。この家の中では。結奈だけじゃないのな。以後、お見知りおきしておくわ。
「じゃあ私も準備するから」
ようやくか。行く気がないのかと思ったぞ。
「…………」
「…………」
ん? なんだこの間は。
視線が合ったまま時間が止まったように過ぎていく。
「そんなに姉の着替え姿が見たいのか?」
あ、そういうことか。他の姉達の感覚でいたから着替えるから出てって的な反応があるということを忘れていた。
沙紀に対しては、お風呂に入れてやっていないことをはじめ、花嫁修業というわけではないが、中学までの俺に自分の世話の全てやらせていたのをやめ、立派な淑女になるべく、今の高校に入学して以来、着替えなりなんなり自分でやってきた―――ということにしておこう。
着替えに関してはほぼ完全に自分でできるようになったため、しばらくそのことに疎遠だったが、その遠さがいつの間にか淑女としての自覚を芽生えさせ、見られることへの壁が形成されたようだ。
「どうしてもというなら、まぁ……そのドアの隙間から見るくらいなら別に構わないが」
「全然結構だ」
っていうか構わないのか。構えよ。淑女目指してるなら。慎みを持て。
「そ、そこまではっきりといわなくてもいいじゃないか。姉は悲しいぞ」
見て欲しいのか見て欲しくないのかどっちなんだ
「じゃあ見てればいいの?」
「見るな」
バタン!
突き飛ばされて部屋から出された。
なんなんだ一体もう~~~。
どんだけ複雑なお年頃なんだよ。
「あら? あらあらあら?」
ん?
げっ!
振り向くと、そこには寝ぼけ眼の妃乃里が、あられもない姿……というには優しすぎるか、シーツのような薄めの大きな白い布1枚を羽織って肌色を隠していた。全然隠しきれてないし、配色としては50:50といったところか。正直、裸族となんら変わらない。何度注意しても直らない。こんなおっぱいの北半球丸出しの格好で家の中を歩くのもどうなのか……。まあ隠すという恥じらいがあるだけ、将来の貰い手を探すということに関してはプラスと考えよう。すさまじく底辺レベルの良し悪し基準だが。
「昔のあたし……?」
はぁああああ!!!
しまった!
この状態でもっとも会いたくない人に鉢合わせてしまった!
妃乃里が俺に擦り寄り、顔を見せまいとそっぽを向けるもその顔を容赦なく覗き込んできやがる。
「……結奈ちゃん? なの? 髪伸びたの?」
呪われた人形じゃないんだからそんなすぐ伸びるかよ。
「あ、わかったぁ~。そのお姉ちゃんに向けるエッチな目は奏ちゃんね」




