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辻橋女子高等学校21 ― 執事と奴隷のボーダーライン

 沙紀に向かって飛び込み、そこで掴める沙紀の肉体をがっしりと掴んだ。それはもう目の前に落ちている一億円を誰にも渡さないように死に物狂いで掴むように、持てる力全てを注いで両腕で掴めるところを掴んだ。





 右頬にムニュ。


 左頬にムニュ。


 後頭部にも何か当たっているような気がするが……。





 目をつむって飛び込んだからどこにどうなったからわからないでいたが、今目を開けたら沙紀の両足が見えた。さらには床、ドアの下部が見える。


 両足と俺の顔の位置関係は、俺の顔を三角形の最鋭角とすれば、両足を結ぶ線は底辺と言える。つまり、俺の顔は沙紀の両脚の間に挟まれているということになる。




 ……ということはさっきから俺の両頬をムニュムニュ触れているのは、沙紀の太腿ということか。しかも内腿。




 ……いや別に、だからといってどうということもないのだが。うん、全然ない。




 それよりもこの頭に当たっている、後頭部全体が包まれている感覚をもたらしているのは……あれだ。両脚を架ける正体不明、出所不明の水色パンツだ。





「は、離せ、奏陽! 自分の弟がどこぞのハエのような女にたぶらかされている、いいようにされている現状を止めたい、止めたいのに!! これはもう私の手には負えない……姉様を……ひのり姉様を呼ばなければ!」





 全然人の話信じてねーぞ、この女!!! ハエ女なんていねーよ! 誰のものにもなってねーよ。お前らの世話だけで精一杯だよ俺は!!!


 やめろと言ってるのに何回出ていこうとすれば気がすむんだ!!!




 このままでは俺のそれなりにあった威厳が―――威厳とまではいかないまでもそこはかとなくそれなりに命令はできなくとも指示くらいは十回に一回くらいは聞いてくれていた姉達が、全く聞き耳を持たなくなることは必至―――そのことは何を意味するのかといえば、今はまだ執事のような扱いの程度の内と言えるが、今度は奴隷の領域に身を落とすことになるだろう。人間扱いしてもらえず、蔑んだ目が基本目線になることは当たり前―――いや、もう言葉すら交わしてくれないかもしれない。ただただスマホに無機質な単語、例えば「メシ」とか「風呂」とか「おんぶ」とかが送られてきて、仮にそれを無視しようものなら鞭百連発の刑を結奈あたりが喜んでパシパシやることだろう。





 なんにせよ、今俺がすべきこと、優先すべきことはただ一つ。


 俺はこの脚を絶対に離さない。


 背後から太ももの間に顔を突っ込んだ形だが、変態と罵られようが構わない。そんな精神攻撃は今の俺にはどうということもないわ。体を変えられ、声まで変えられた俺に、これ以上何に動揺しろというんだ。




 もがき暴れる沙紀に俺は必死にしがみついた。

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