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辻橋女子高等学校⑱ ― 異世界美少女転生した―――まである

 首が細くなってる。


 人並み、年頃の男子高校生並みにはあった腕の太さがなくなっている。


 驚くほどに見事なくびれが形成されている。


 太もも、ふくらはぎがモデル並に細くなってる。


 




 …………。




 …………これ、誰だ?




 ホントに。




 マジで。




 マジで本当に誰だよこれ! いや俺なんだろうけど……なんだろうけど誰だよ!どうなってんだよホントに!!! 切に!!!






 


「ね……ねぇ……、沙紀ねぇ…………どうなってんだよ……これ……俺に何をしたぁ!!!」




 驚きを通り越してもはや怖い。


 魔法でも使ったのか?


 それは俺の体を変える魔法なのか、俺の魂を別の体に移したのか……。


 


 ……はっ!


 もしかしてこの体、結奈の体なんじゃねーか?


 顔はもとより全身のパーツもどことなく結奈寄りだし。


 おっぱいも……まぁおっぱいボールで隠れているがもしかしたら押しつぶされているだけで、いつも結奈の胸を程よく盛り上げているぷにゅぷにゅがあるのかもしれない。




 ―――どうして昨日今日とこんなにファンタジー色強いんだよ。




 どうして俺が毎日甲斐甲斐しくも三人の姉の世話に従事しているか知っているか?


 それは姉達を野放しにしておくと、かえってとんでもない事態を持って帰ってくることこの上なく想像にたやすいからだ。


 俺はただただ平穏に毎日を過ごしたいだけなんだよ。ただそれだけだというのに―――くっ!




「おい、姉御! どうやって俺と結奈の体を入れ替え―――」




 ……あ。


 あ……えっ……と……。


 なんだろう。


 なんというか……今振り向くときに……その……あたったわ。手にあたったわ。


 ジュニアが。






 ほえっ?


 じゃあ何かい。今のこの体は俺の体で、さっきまでの男子高校生らしいといえる体も俺の体で……?





 俺の身に起こっている現象の原因として考えられる可能性は二つしかない。


 昨日の陰陽師女が時間差で効果がでる呪術をかけたか、沙紀が俺の知らない能力を使って何かしたか―――。





「おいっ、姉御!!!!!! この声といい、体といい……俺の体に何しやがったぁ!!!!!!」





 俺は振り向いた。


 激を飛ばして振り向いた。


 犯人じゃないかも知れないけど、鼻っから疑って食ってかかった。




 まだ犯人かどうかはわからないが、可能性としてはフィフティ・フィフティ。これまでずっと一緒に生活してきた補正をいれれば1:99くらいか。そのくらい沙紀が犯人とは考えにくい。そのように総合的に考えれば、こんな超常現象はあの陰陽師の女が真犯人であること一択なのだろうが、沙紀としての意識において昨日の風呂場からの流れを汲めば、何か事情があるようなので、それを満たすために今沙紀は行動をしているわけで、つまりは経緯的、意図的な面を考えれば沙紀が犯人の可能性が高いわけだ。


 俺は思いもよらない三次成長期の訪れによる不安といいように遊ばれている感など負の感情が大量発生し、それらが言葉に込められ語気が強くなった。




 振り向いた先には、沙紀がこちらを向いて立っていた。


 それはそれはいつもと変わらぬ美しさすら感じさせる佇まいを見せながら、感情の感じられない無色な視線を送ってくる。




 それは何の特別なことではない。


 沙紀のいつもの振る舞い。


 様々な視線の種類がある中で、その冷めたわけでもなく、暖かいわけはなく、いうなればロボットのような無機質な視線がデフォルトな沙紀らしいごく普通の視線だ。




 しかし今は、その視線が……なんと言えばいいのだろうか。無色というには色味があるというか……いや誤解しないでほしい。視線は無色だ。それは間違いない。間違いないし、むしろいつも以上に無色度に磨きがかかっている。透明と言ってもいいくらいだ。




 ただ……ただ一つ……一つだけ、脳で処理が追いつかない光景がそこにあった。




 それはことの次第では今すぐ精神科に沙紀を担いでいかなければならないかもしれないことを誰しもが思うだろう絵図ら―――。




 沙紀の頭の上に沙紀のピンク色のパンツが乗っていた。

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