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妃乃里と買い物31 ― ベルトって漏れそうな時に限ってなかなか外れない

 あ、でも試着の場合は着ている下着の上から穿くんだったわ。


 店員がそのルールを破るわけがない。


 危ない危ない……危うくさっきの金髪男みたいな扱いになるところだった。もしくはそれ以上の罪状かも。






「穿けましたか?」





「え、いや、その……まだでした」






 ふぅ……。










 穿くか!!!






 もう穿いちゃう。ここで詰まってられない。


 もうブラジャーもつけてるんだ。


 ブラジャーつけてたら、それとおそろいのパンツがあるならば、それをつけるのが道理でしょうよ……そうでしょうよ!!!




 自分に言い聞かせるようにして心に気合を入れる。


 このまま一気にたたみ掛ける!!!














「……………………穿けました」






 俺は報告した。


 麗美店員に、自分が女性用のパンツを試着することができたことを伝えた。




 後悔は感じてないと言うと嘘になる。


 でも、今は感じないことにする。


 そんなことを感じていては、俺はこの場で立ち回ることができなくなる。


 むしろ、これが正装なのだと、この場における最もふさわしい服装なのだと自分に言い聞かせた。






「それはよかったです」






 ………………それで終わりですか、店員さん!




 


 おそらく、いやどう考えても店員さんは女性下着のプロな訳だから俺より穿くのは早いに決まっている。


 つまり、もう着替えは終わっているはずなのだ。




 お互いもう穿いているのであれば、あれだけ着比べたがってたわけだから、今にもがっついて見せてください、または見せ合いましょうみたいな展開になってもいいと思うのだが……。






 俺はこのまま鏡の中にいる濃い緑色の上下おそろいのブラジャーとパンツをつけた自分を見続けなければならないのか―――?







 カチ……カチカチ……カチッ―――。







 さっきからずっと鳴っているな……。






「あの、その音は一体……?」





「すみません。その……ベルトが外れなくなってしまいまして…………」






 ベルトが外れない……だと…………?






「俺がやってみましょうか?」





「え?」






 麗美店員は振り向いた。いつのまにか俺が着けているものと同じブラジャーをつけていた。パンツと一緒にもう一つブラを持ってきていたのか。






「その……ベルトを外すの。外せるかわからないですけど、もしよかったらトライしてみましょうか……?」





 もちろん、断られることありきで考えている。あたりまえだ。他人にベルトのバックルをいじられるなんてなかなかにいい気分とはいえないだろうからな。


 しかしながら時間もないことだし、俺は攻めに攻めていく。そう決めたんだ。必要とあらばガンガン攻めていく。


 攻めたところで結果が伴わなければ意味がないが、実は俺はこの件に関してはまあまあの自信がある。自信とまでは言えないか。


 というのは、姉達の着せ替えをする上でベルトの取り外しもやっているからだ。普通は自分で自分のベルトを外すことしかやらないと思うが、俺は自分以外のベルトも普段から取り外しているため、そこで培われた経験を持ってすれば解決できるかもしれないと思い、この度立候補した次第だ。







「……いいんですか? すみません。ありがとうございます」

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