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妃乃里と買い物25 ― ゴリラの握力は500kg

 それは妃乃里の左手。あたかも金髪男が近づけてくる顔を押し返しているかのようにして手の平を男の頬に当てているが、実はその指先で耳とその近くの髪の毛を掴んでいた。 右手でも、あたかも男が妃乃里を掴もうと思って伸ばしたのであろう腕を押し返しているかのように見せながら実は逃げれないように自分の方に引っ張っている。

 お互いの力が拮抗しているがゆえに、その場にとどまっているように見えるのである。


 妃乃里の握力は、片手でリンゴなんて優に握りつぶせるレベルで、とんでもなく強いのだ。


 こういう状況から、誰がかわいそうなのかはすぐわかるし、誰がこの状況を一番喜んでいるのかも俺にはすぐ分かる。

 そう、俺がさっき助けに行こうとしていたのは、自分の姉ではない。この男達の方だったのだが、首輪を鎖に繋がれた俺にはどうすることもできない。


 懸念していた通りの流れになってきた。



「どうかされましたか!」



 ほら来た。デパートの警備員らしき小太りの青い制服を着た人が来た。来てしまった。



「たすけてくださいーーー! 襲われそうなんですーーーっ!!!」



 もう、徹底してあれなんだな。その、なんというか……大根役者というやつか。抑揚のない感じ。とにかく一生懸命叫ぶ的な。

 俺は妃乃里が今やっていること、その心情もある程度分かっているからいろいろ思うところがあるが、普通に見れば、まぁ必死な様子は伝わるか。



「おい、お前! 何してるんだ!」



 金髪男は警備員に無理矢理剥がされる。



「っぶあああああぁぁ!!!!!」



 妃乃里はこの時を待っていたということは、もはや言うまでもない。


 金髪は妃乃里から離されると、すごく勢いよく後方に吹っ飛んだ。おそらく、自らの力と、警備員の力が相まってのことだろう。仰向けに倒れた金髪の顔には、大量の汗が吹き出していた。


 小太りの警備員は妃乃里に大丈夫かどうか声をかけた後、金髪に向き直る。



「君! なんてことをしているんだっ! ……おい、警察を呼んでくれ」


 小太りの警備員は一緒に走ってきた別の警備員に小声で警察を要請している。

 その一緒に来た警備員は小太りの警備員よりも一回り大きく、汗を滝のように流していた。

 ちなみに小太り警備員の方も滝とまではいかないが、小川くらいには流していた。


 妃乃里は今、汗が顔から噴出している金髪の男と、小川ぐらいに汗を流している小太り警備員と、滝のように汗を流している大太り警備員に囲まれていた。

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