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悩み相談室⑧

『緊急事態です』


 俺はこの悩み相談室の開設責任者である生徒会長にメールを入れた。


 ブッブー……ブッブー……

 画面を消したや否や携帯が震える。


『内容』


 驚かないでほしい。

 我が校の生徒会長はなんのためらいもなく2文字で返信してくる。

 返事の早さはピカイチだが、やさしさのかけらもなく、人間性のかけらもなく、ロボットの方がむしろ温かみのある文を作るような気がする。

 会長は仕事効率を上げることを重視しており、そのせいなのだと思うが、人との会話がほとんど単語のみで終わることが多い。

 

『本日、三上副会長が溜まりに溜まった疲労や鬱憤により、副会長職を辞したいと連呼しています。再起不能になる前に再起を図るべく今日はここで閉めたいと思うのですが』


『原因』


『自分の思惑と相反して日々高まっていくこの部屋の人気に不安を抱いているのかと思われます』


『疲労回復』


 会長のメールの大半はひらがなが見当たらず、熟語で簡潔に完結している。


『かしこまりました。とりあえず今日はこれで悩み相談室を閉鎖します』


『許可』


 よし、許可がおりた。

 ものの1分ちょいでやりとりが終わった。

 会長は待つのが嫌いなため、こちらも最速で文字を打たないと返事の催促が来てしまう。ひやひやものだ。


「許可降りたぞ、三上」


「やったー。どこいくの~?」


「悩み相談室だ。街のな」

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